初心者2.(次元) ページ32
*
その後、合コン会場の最上階に雰囲気のいいバーがあるからと連れて行かれたまではいいものなかなか返してくれないのだ。
普通ならこのまま二人で夜の街に消えるのだろうが、Aは恋愛にちゃんとした段取りを取りたい派でアルコール度数の低い酒ばかり飲んでいた。
彼は強い酒で酔わせて持って帰ろうという魂胆なのだが、Aも負けじと対抗している。
側から見たらさぞ面白い光景だろう。
持って帰りたい男とただ家に帰りたい女。
このバーの雰囲気に合わない二人の姿は少し遠くにいる男の視界にも入ることとなる。
話のネタも切れてきてもうどうしようかと途方に暮れ始めた頃、予定通り着信が鳴った。
あ、ごめんなさい。
と自然に席を立つとAはお店を出た後、静かな廊下で携帯のアラームを切った。
数時間前に逃げ道としてセットしておいてよかった〜と胸を撫で下ろす。
その時点でもう完璧な恋愛不適合者なのだが、3分ぐらいしてから戻ろうと廊下の壁に寄りかかる。
「お、何してんだお前」
今し方自分の出てきたバーの扉が開き、いかにもダンディーと言う言葉が似合いそうな男性が出てきて思わず見惚れていたのだが次の言葉でハッとした
「お前さんの連れ、凄い顔して待ってるぜ」
戻らなくていいのか?
と聞いてくる男性に聞いた、今自分を待っている彼の姿を想像してゾッとした。
やはり男性は怖い
そんな、ダンディーな男からあの男の今の状況を聞いて戻りたいと思う奴がいるだろうか。
いやいない。
少なからず私に戻る勇気はない…
思わず顔を引きつらせる。
そんな様子が面白おかしく可愛くてもう女には懲り懲り、手は出さないと硬く決めていた次元だったのだがこの女を店の中で見た時から盗んでしまいたいと思っていた。
職業病だろうか、、
いやそんな綺麗な言葉で片付けられるものではない。
「一緒に逃げるか?」
途方に暮れたままの引きつらせた顔は一瞬、驚きに変わりその後ゆっくりと頷いた。
..
152人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チェシャ猫(プロフ) - リクエスト良いですか? (2022年12月28日 18時) (レス) id: af2b388f3f (このIDを非表示/違反報告)
さかなのしっぽ(プロフ) - シーナさん» リクエストありがとうございます! (2020年6月16日 2時) (レス) id: e4b8216cb7 (このIDを非表示/違反報告)
さかなのしっぽ(プロフ) - ジンloveさん» ありがとうございます! (2020年6月16日 2時) (レス) id: e4b8216cb7 (このIDを非表示/違反報告)
シーナ - リクエストです【男性恐怖症の夢主と次元】と【一国の姫の夢主に次元が迎えに行く話】と【ルパン一味に愛されてる夢主が敵に誘拐される(次元)】をお願いします!! (2020年5月29日 0時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
ジンlove - とっても面白いですね。 (2020年5月20日 16時) (レス) id: c6e3be00f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きのうのひるごはん | 作成日時:2019年6月16日 2時