☆短編集3☆

真っ暗な帰り道 1.(次元) ページ15

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今日は月のない真っ暗な夜
普段から人通りのない道は、物音一つしない闇に包まれており、二人分の足音だけが響いていた





「真っ暗だね」


「そりゃ、新月だからな 怖いのか？」





ちょこっとだけね、と次元の腕に掴まったままのAの手に力がこもる
元々、好奇心に負けて心霊特集などを見てしまうタイプの人間なのだが、見終わった後はいつも後悔している為、案の定今回も相当怖がっている事は次元には分かっていた






そんなAを少し驚かせようと次元は片手に持っていたライトを消し、腕をほどくと闇に溶けた





「あ！ 次元？ねえ……どこ？」





次元、次元と自分の名前を呼ぶAが可愛らしくてもっと意地悪してやりたくなる次元はさらに息を殺して様子を見守る






一方で安心できる腕が消えたAはか細い声で次元、次元と半ば涙になりながら呟いている









「次元………もうルパンに電話しゃおうかな」





数分経って、完全にひとりぼっちになったと錯覚したAは携帯を取り出そうとした
すると次の瞬間、後ろから強い力で抱きしめられた





「きゃぁ！？」


「誰に電話するって？」





少し不機嫌さを含んだ声だが、すぐに次元だとわかる
そんな声にひどく安心して、Aは自分で思っていた以上に怖かったのか、また別の意味で目頭が熱くなるのだった









……→









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