ウザイ兄との接し方【スペイン】

その26 ページ27

そこからは毎日があっという間に過ぎていった

兄さんは放課後学校に残ることが多くなり、家に帰ってもずっと部屋にこもってる時間が増えた


『(…そうとう頑張ってるみたい)』


もう受験まで2週間をきった

私立大学だから教科が絞られているけれども、決して難易度が低い大学ではなない

絞られている分、一つ一つが難しくなっているみたい

『(兄さん、化学とか大の苦手だもんなぁ…)』

取り掛かったのが少し、いやだいぶ遅かったため、余計にしんどいと思う


私はとはいうと、兄さんの邪魔をしないように、プレッシャーを与えないようにあえていつも通りに接している

強いていえば、ちょっと多めに夕飯の家事当番を引き受けてるくらい


あとは頑張れ、と言葉で伝える代わりにトマトをおまじないとして毎晩使っている

『(…あ、トマト切らしてたんだった)』


私は作りかけの料理が入ったフライパンのガスを止め、財布とスマホを持って玄関に向かった


『…っと、その前に』

少し兄さんのとこ顔出しておこうか

兄さんの部屋まで足を運び、コンコンとノックをしたあとゆっくりとドアをあける


『…兄さーん、ちょっと私買い忘れたものがあるからスーパーにいってくるね』

スペ「んおぉぉ…………」


うん、だいぶんこれ限界きてるな。


『…兄さん大丈夫？行ったついでになんかジュースでも買ってこようか？』

スペ「オリーブオイル」

『…うん？』

スペ「オリーブオイルが飲みたい」

『』

うん、これダメだわ。


『兄さんもいこ！たまには気分転換に外の空気吸わないと！』

スペ「んおぉおあ」


半分抜け殻状態の兄さんを引きずりながら私は近所のスーパーへ向かった




スペ「…おお、なんや久しぶりや、ここのスーパー来たん」

『兄さんずっと家にいる時引きこもってたもんね』

良かった、とりあえず人語は取り戻したみたい…


内心ホッと胸を撫で下ろしながらカートを野菜コーナーまでコロコロと転がす

『兄さーん、今日トマトサラダも作ろうと思うんだけど、どの種類が…』


『……え？』


い、いない


嘘だろ…数秒前まで隣にいたのに…




【うざいポイントその18:ただの幼児】

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