【BTS】ブスと罵られる紅一点の奮闘

44 ページ44

TH side




なんで俺が怒られなきゃいけないの。

面倒くせーって言って、なんで八つ当たりされなきゃいけないの。






Aヌナはそんな時に俺を救ってくれる人だった。


たとえピリピリしていてもAヌナがいればその場が明るくなるし、無言になっても落ち着くものがあった。なんて言うんだろうか。


一緒にいれば騒がしいけど、合わないと寂しい。

そんな、絶妙な人だった。





『ちょっ、ストップよ、一旦止まりなさいってばよ。』

「…なに？」





引っ張った手を止められて、振り向いて、しばらく見つめられた。

まじまじと見られるのはあまりないから、こうなると少しよく分からなくなる。









ぼーっとしてた時。




手が伸びてきた、その瞬間。









『かっこいい顔が台無しだよ、テヒョン。』





そう言われて、頬を掴まれた。


頬を引っ張られて、痛い痛いって言ったらヌナは笑った。

いってえ。容赦ない。






『ヤー！かっこいい顔がそうなってるところを見るのは気持ちがいいね！』





そう言うヌナにムカついたので、俺も頬を掴む。

めっちゃくちゃに伸ばして、ブサイクすぎるその顔を見て思わず吹き出した。
マジでブスじゃん。顔すごいことになってるじゃん。カバみたい。爆笑。腹抱えて笑う。





『おいお前失礼すぎるだろ』

「いやっ、ほ、ほんとにブス、あっはは！！」

『どつき回すぞ』







…だめだ、思い出して笑う。


顔を見たら笑ってしまうので、肩を掴みながら下を向いた。






『いいかいテヒョンくん。』

「ぶふっ……は、はい。」

『君は若い子なんだから、余計なことで悩むんじゃない。』

「…どゆこと？」





意味がわからなくて顔を上げる。

優しい顔をしているヌナに、心臓が少しずつ波打つのがわかる。









『喧嘩したなら、仲直りしなきゃ。



余計なことを考える前に、まずは行くのが最適だよ。』

45→←43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す