適当なんです ページ7
三人が通っているのは、『呪術高等専門学校』という宗教系の私立高校らしい。
しかも一年生は今いる三人しかいないと言うのだから驚きだ。
うちの学校なんて一学年三百人もいるのに……。
なんてことを話していると、私のスマホの着信音が聞こえた。
「あ、ごめんね。ちょっと出てくる!」
「はいよ、いってら。」
虎杖くんに手を振られ、通話ボタンを押す。
「もしもし父さん?」
『お、Aか?お前今どこにいるんだー?』
…そういえばどこにいるかは伝えてなかった気がする。
「ごめんごめん、伝えるの忘れてた。えっとね…」
現在地を伝えれば、父さんは
『お、割と近いぞそこ!待ってろA、すぐ迎えに行くからなー!』
なんて上機嫌で通話を切った。
人の気も知らないでこの親父は……
しばらくして、遠くの方で父さんがキョロキョロ当たりを見回しているのに気がついた。
手を振って呼びかけると、父さんはこちらに気がついたようだったが、すぐにギョッとしてこちらに駆け寄ってきた。
「お、おおお、おい、A?この人たちは一体誰なんだ?」
まぁそりゃあそうもなるだろう。
娘の人生において初の東京のはずなのに知らない人達とワイワイ楽しそうに喋ってるんだから。
「えっとね、ちょっと色々あって助けてもらったの。」
「そうなのか?あ、どうもうちの娘がお世話になりました。」
そう言って父はたまたま私の隣にいた伏黒くんにお辞儀をした。
「いや、雪下…さんを助けたのは俺じゃなくてあっちの釘崎です。なんで、お礼ならあいつに。」
あ、名字呼び捨てにしようとして一応親だからってさんつけたなこれ。
父はおおそうか!とかなんとか言って釘崎さんの方へ向かっていった。
お辞儀をしながら、何度もお礼の言葉を言っている。虎杖くんに。虎杖くん目丸くしちゃってるじゃないか。
やっぱりこのオヤジ、根本的に適当なんだなぁと再確認した。
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作者名:枯道 | 作成日時:2021年1月24日 10時