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支度完了 ページ34

「A、入るわよ?」

「うん、どうぞ。」

ガチャ、と扉を開けて野薔薇ちゃんが入ってくる。
さっきはまだ眠気の残る目をしていたが、今はもうすっかり目が覚めているみたいだ。
初めて会った時と同じでかっこよくてかわいい。

「あ、髪綺麗になってる。似合ってるわよ。」

もう、ほら、そういうことを軽々しく言う!
直ぐにときめくお年頃なんだからあまり心臓に悪いことはしないで欲しい、私が死んでしまう。

「ありがとう、野薔薇ちゃんも可愛いよ。」

「当たり前でしょ、時間かけてるんだから。」

ふふん、とドヤ顔をしている。
かわいい……。
あれ、そういえば思っていたよりも直ぐに彼女の準備が終わってしまったけれど、余ってしまったこの時間をどうしようか。
というか、流石にもう少し寝かせてあげればよかった。

「思ってたより早く準備終わっちゃったね。」

「ま、早く行ったって悪いことはないでしょ、アイツらより早く着いて金沢観光しましょ。」

つまり二人でお出かけということか…!
なんと溢れる女子高生感!
目的はそれではないのだけど、それはそれとしてやはり楽しみはあった方がいいだろう。

「じゃあ、そうしよっか。」

「あ、なら荷物取ってくるわ。」

そう言って彼女は一度部屋に戻って行った。

ダンボールの中から白いショルダーバックを取り出し、縦長の紙とビー玉を詰め込む。
理さんのところで預かってもらっていた間、父から適当に、且つ雑に教えて貰っていただけだった『術式の操り方』を樹さんに教えて貰ったのだ。
私達の術式は紙やビー玉を使うとやりやすいとのことで、ここに来る前に大量のビー玉を買ってきた。
のだが、どうしよう割と重いぞ……。
仕方ないので少し量を減らして肩が痛くならない程度の重さにする。
少し減ってしまったが、まあいいか。

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作者名:枯道 | 作成日時:2021年1月24日 10時

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