ちゃんとすれば良かった ページ32
「とりあえず任務のことは分かったけど、アンタその髪どうにかしなさいよ。ボサボサじゃない。」
言われて思い返す。
そういえばさっき適当に結んでそのままだったっけ。
せっかく想い人の前に立つのだから、服装ぐらい整えておけばよかった……!
「そうだね、もうちょっと整えるよ。」
「私も準備するわ、一時間半もあれば終わるから、Aもそれまで色々やっときなさい。」
若干今この状態で野薔薇ちゃんを起こしに来てしまったことをも後悔しつつ、彼女の部屋を後にする。
後悔しても仕方がない、彼女の言うとおりまだ時間はあるのだし、それまでにもう少しちゃんとした髪型にできるだろう。
部屋に戻り、櫛で髪を梳かす。
肩まである赤茶色の髪が、サラサラと流れてゆく。
櫛がスムーズに動くようになったところで、さっき使っていたヘアゴムを使い髪を後頭部で纏める。
勿論さっきよりも丁寧に、だ。
結んでひとつになった髪を三つ編みにする。
根元を掴んだまま結んだ髪をくるりと纏め、予め用意しておいた飴ピンとU字ピンを使いしっかりと固定する。
黒く細いリボンを髪に結い、鏡で出来栄えを確認する。
よし、さっきよりも幾分かマシになっただろう。
自慢じゃないが、私は趣味が手芸なだけあって割と手先が器用だ。
出来上がりに満足し時計を見ると、さっきから十五分程度しか経っていなかった。
よし、髪はこれくらいでいいだろう。
まだ時間が余っていることだし、任務のことについて調べておこうか。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:枯道 | 作成日時:2021年1月24日 10時