検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:10,171 hit

不穏な気配 ページ4

声をかけてきた男性は、人あたりの良さそうな笑みを浮かべていた。
の、だが。

「(あ、なんか嫌な予感がする。)」

言葉では言い表せない、真意を薄いベールで隠しているような、そんな話し方だった。
私より背の高い、茶髪の男性。
独断と偏見だけで言うと、夜の仕事をしてそうな人。

「今、お時間よろしいですか?」

振り向いたままポカンとしている私に、そのままその人は話しかけてきた。

「え…ぁいや、あの。」

「お嬢さん、お金に困ってません?」

「(夜の仕事に誘う時の常套句みたいなの来た!!!)」

駄目だ駄目だ、これ絶対やばいヤツだって。
こういうのは断らないといけないってTw○tterが言ってたもん!!!

「ぁ…いえ、大丈夫ですので………」

「ほんとに〜?結構高い買い物してたように見えたけど。」

会計してたところから見てたんすか!?
まあ確かに毛糸以外にも水引とか買っちゃったから……
違う違う、絆されるな私。

「あの、本当に大丈夫です…」

一刻も早くこの場から立ち去らねば。
足早にその場を移動する。

「そんなツレないこと言わないでよ〜」

着いてくんなし!!!
マズイって、着いてきちゃってるよこの人!
歩くスピードを速くしても、すぐに追いつかれてしまう。

「あの、私まだ学生なので…本当に結構です。」

「学生なら尚更お金ないんじゃない?」

それは流石にポジティブシンキングすぎるでしょう。
どうしよう、話せば話すほど墓穴を掘る……!
でも、だからといって術式なんか使ったらこの人死ぬよね…
頭の中でぐるぐると思考しながら歩いていると、いつの間にか人の少ない路地の裏へ来てしまった。
後ろにはこの人がいるから戻れないし、進めば裏路地。
気づいた時にはもう遅かった。
壁に追い込まれて逃げ道がない。
冷や汗が頬を伝い、目の前の男性を見つめる。
相変わらずの軽くて薄い笑顔のまま彼は喋り続けている。
ふと手首を掴まれた。

「すぐ終わるから平気平気!ね?」

「おねが、離して…!」

「大丈夫だから、ね?ちょっとだけ着いてきてって。」

頭がパンクしそうだった。
目の奥が熱くなって、喉がヒリヒリする。
もう、この人が何を言っているのかも理解できそうになかった。
手を引かれそうになった時、女の子の声がした。

「おいコラ。何してんだテメェ。」

「え?」

振り返った男性は次の瞬間、通路の奥へと吹っ飛んでいった。

心が染まる→←一方その頃



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
10人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 釘崎野薔薇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:枯道 | 作成日時:2021年1月24日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。