隣らしいよ ページ26
学長さんには納得して貰えたようで、私は五条先生に校内の案内をしてもらっていた。
案内をしてもらいながら、ふと気になったことを聞いてみる。
「五条先生、誰にも会いませんけど今は生徒居ないんですか?」
「それがね、今いい感じに皆出払っちゃっててさぁ。悪いね、野薔薇に会わせられなくて。」
あ、またニヤニヤしてる。
この人本当に教師なんだろうか、今の所マジで不審者としてしか見れないのだが。
でも説明やらなんやらはめっちゃ詳しくしてくれるし一応ちゃんと呪術師ではあるみたいだ。
「別に大丈夫ですよ、この学校にいれば会えるチャンスなんていくらでもあるんですから。」
なんて、強がってみたけど実際は会いたくてしょうがないし、会えないと知って今テンションがだだ下がりしている。
「まぁ皆そろそろ帰ってくるでしょ、特に一年は。」
次は寮だよ、と前を歩く彼を追いかける。
足が長いから必然的に歩幅が大きくなって足が速い。
五条先生に必死に着いて行くと、寮だという建物が見えた。
平屋の割と大きめな建物。良くも悪くも少し風通しが良さそうだ。
「先に送られてきた荷物は部屋に入ってるから、荷物整理は頑張ってね。」
案内はこんなもんかな〜、と部屋を覗く五条先生だが、いくらダンボールだらけとはいえ女子の部屋をそう覗かないで欲しいものだ。
「あれ、A。そっか、登校今日だっけ。」
「野薔薇ちゃん!」
初めて会ってから一週間半ほどが経過したが、私と野薔薇ちゃんは毎日のように連絡を取り合っていた。
釘崎さん呼びから野薔薇ちゃん呼びに進化したのだ。
「隣の部屋みたいなんだ、よろしくね!」
勿論、なんて笑顔で答えてくれる野薔薇ちゃんは本当に可愛らしいと思う。
登校初日から会えるなんてラッキーだ。
まだ半日も経っていないが、入学して良かったと心の底から嬉しく思う。
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作者名:枯道 | 作成日時:2021年1月24日 10時