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お初にお目にかかります ページ22

あれよあれよという間に手続きが行われて、一週間後には私は入学するのだという。
荷物類は父さんと母さんが後で送ってくれると言うので、私は実家に残り私のいとこだという樹さんに会うことにした。
今は目が覚めて自室で療養中らしいけれど、どうやらもう既に話せる状態らしいので挨拶くらいはした方がいいだろう。
何故か居るお手伝いさんに樹さんの部屋を聞き、屋敷の中を歩き回る。

……というか広すぎないかこの家、サマーウォーズかよ。
樹さんの部屋は洋館、つまり今いる側の建物の二階にあるらしいが、まず階段がどこにあるのかが分からない。
五分ほどウロウロしていると、ようやっと階段を見つけることが出来た。
樹さんの部屋は一番和館側の部屋らしい。
フローリングの廊下を歩きながら、周りを見渡してみる。
こんなに沢山部屋を持ってて一体何に使うのだろうか。
歩いている間にもうひとつ階段を見た気がしたが、気にしないことにした。
目当ての扉の前に立ち、ノックをする。
どうぞ、と中から声がする。
扉を開けてみると、ベッドの上でノートパソコンを弄る黄褐色の髪をした若い男性がいた。
部屋自体は本棚やパソコン、テレビゲーム機のある普通の部屋で、いかにも洋館!という雰囲気だった廊下とのギャップに少し驚く。
私を見て驚いたらしく目を見開いて固まっている。

「はじめまして、雪下Aです。一応いとこらしいので、挨拶に来ました。」

「……え、Aさん?ああ、わざわざありがとう。ごめんね?こんな格好で。お茶とか何も出せないけど、まあゆっくりしていってよ。」

樹さんはあはは、とにこやかに笑っているが、よく見ると右手は包帯でぐるぐる巻きだし、頭にも包帯が巻かれている。
パソコンを閉じてこちらに向き直り、樹さんは私を真っ直ぐに見た。
私と同じく、父や理さんより少し明るい灰色の瞳。

「父から話は聞いたよ。呪術高専、行くんでしょ?」

「あ、はい。」

こちらを見て、少し心配そうに樹さんは言う。

「本当に大丈夫?Aさんは女の子なんだし、無理しなくてもいいんだよ?
まぁ、こんなヘマやらかした俺が君の心配するのもアレかとは思うんだけどね。」

元々才能がある訳でもないんだし、と彼は付け足す。

多分いけます→←情報開示3



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作者名:枯道 | 作成日時:2021年1月24日 10時

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