pet58 ページ9
貴「お二人は本当に仲がいいですよね」
勝「うん！」
理「別に？」
貴「お二人の昔の思い出、聞かせてくださいよ」
勝「気になる？」
貴「はい！」
理「やめてよ、勝利」
理子さんの制止もきかず、佐藤さんは話し始めた。
勝利side
理子とこうして一緒にいられるのは、運命だと思ってる。
生まれた時から僕らはずっと、そばにいた。
「しょーおーりくん！」
今日もまた、理子の声がして。
体に鞭打って起き上がると、タイミングを見計らったように理子は僕の部屋に飛び入って、
「寝てなきゃダメでしょ！」
としかめつら。
「今日はねー、リンゴを持ってきたんだよ」
食欲はないのに、理子の見舞い品だけは食べる気になれるから不思議だった。
「いつも思うけどさ、勝利の家はいつ病気しても安心だよね〜」
見舞い品として持ってきといて、僕よりもリンゴを頬張りながら理子は呟く。
「理子が病気したら…うちがどこより早く駆けつけるよ」
「理子は病気しないもん、あんたと違って！わかったらこんな超いい環境に感謝して、とっとと病気治してよね！」
そういうと理子は庭に飛び出て、木登りや虫取りを始めた。
ベットから庭で遊びまわる理子を見つめる。
生まれた時から身体が弱くて、ああして思いっきり遊んだことなんてない。
だからずっと僕にとって理子は、憧れ。
大切な人。……大好きな女の子。
でもそんなこと思ったらだめなんだ。だって僕の病気はもう、治らないんだから。
理子が悪いと思う。残り少ない命に希望なんて持ってない僕にいつも、「早く治して」とせがむんだ。
そんなこと…思ってないくせに。死んだら死んだで、理子の毎日は変わらない。
両親だって、兄2人に姉1人を持つ僕の余命なんか気にしてないんだ。長男さえ生きればあとはどうだって…。
「早く勝利と幼稚舎行きたいな」
「へ？」
そんなことを考えてぼーっとしてたら、いつの間にか理子は僕のベットに腰掛けていた。
「勝利のお父さんはすごい人だって聞いたよ？勝利はもうすぐ、理子とあそべるようになるんだよね？」
そんなことには、ならない。だって僕の父さんは延命治療に乗り気じゃないよ。
理子は、親に言われて仕方なく僕の所に来てるんだろ？君にとって僕は、生まれる前から結婚の決まってる、許嫁だから…。
「勝利、治してよね？」
「……うん」
力無い僕の頷きに満足したのか、理子は部屋を出て行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いーぐる(プロフ) - 桜花さん» ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。面白いと思ってもらえてとても嬉しいです…。実はこれを作っていたアカウントが消えてしまっていて、もう一度アカウント作り直してるんです汗それで誤作動になってるのかも。新作を出せたらそうします！ (2019年1月24日 7時) (
レス) id: 972489cf8f (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ この作品、本当に本当に面白かったです！ 次回作も楽しみにまっています！！ あと、いーぐるさんのページ(？)に何故かとべないので新作がでたらURLをこの小説に貼ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2019年1月23日 17時) (レス) id: d45390dddb (このIDを非表示/違反報告)
FUKA - 速く更新してください!!!!!! (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7fce94fe2d (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» 好きなコンビとかあったら教えてくださいね！ (2018年7月19日 21時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします！！ (2018年7月18日 18時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いーぐる。 x他1人 | 作成日時：2017年9月17日 23時
