pet54 ページ5
「さすがだね！」
彼は花言葉を一瞬で言い当てたわたしに微笑む。
「私は…優美なんかじゃないもん…」
「え？」
「美しく優しい…そんな風にはなれない」
「どうして、そう思うの？」
長い、長い話をした。
生まれてから背負った運命のこと。
修行はうまくいってないこと。
いっそのこと全て捨てて、ここにでも逃げて来たいこと。
彼は優しく、目を離さずに聞いてくれて、いつの間にか私は泣いていた。
「家が嫌い。しきたりなんて嫌い。無力な自分が…1番嫌い」
「僕はね、親が嫌になるとここにくるんだ。君もまたくるといいよ、いつも僕がいるとは限らないけど」
「いいの？！」
「本当に花が好きなんだね」
あからさまに喜んだ私に、彼はまた幸せそうに微笑んだ。
「これもあげるよ、まだ子供のアリスに」
「え？」
手渡された花は、アリッサムのように摘まれたものじゃない。きちんとラッピングされた、花束になってるカモミール。
「まだ早いんだけどね」
「よく咲いたね、咲きごろは4月なのに」
「花言葉は…『逆境に耐える』でしょ？
僕はアリスに、今を耐えて欲しいんだ」
「…どうして」
「どうしても。
咲きごろじゃなくたって、人間が世話を焼かなくたって花は咲く。
そこがアスファルトでも焼け野原でも。
誇らしく胸を張って、アリスの花を咲かせて欲しいんだ。
アリスならきっと出来る。
1人じゃないよ。僕はずっと、そばにいるから。」
彼は真っ直ぐに私の目を見つめて、そう言った。
彼がそばにいてくれるなら、なんでも出来そうな気がする。
叶うならカモミールのように、大地に強く根をはる美しい花になりたい。
鼻をくすぐるカモミール特有のリンゴのような甘い香りに、そっと背中を押されて呟いた。
「また…きてもいいんでしょう？」
「うん！」
「わかった。じゃあまたね。」
「バイバイ。」
また裏の穴から外に出る。
足が軽い。家に帰れる。
きた道を戻っていくと、あの温室と自分の家が案外近いことに気がついた。
また行こう。カモミールの甘い香りが、しなくなってしまったら。
それから、まるで別人のように修行と向き合うようになった私に両親はご満悦。
そして、主と出会う初等部一年の春が訪れた。
主が誰であろうと首を振る、そう決めていたのに。
「お前の主となるのは、あの子だよ」
「やあ、やっと会えたね。アリス」
あ、あなたは…花園の男の子…？
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いーぐる(プロフ) - 桜花さん» ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。面白いと思ってもらえてとても嬉しいです…。実はこれを作っていたアカウントが消えてしまっていて、もう一度アカウント作り直してるんです汗それで誤作動になってるのかも。新作を出せたらそうします！ (2019年1月24日 7時) (
レス) id: 972489cf8f (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ この作品、本当に本当に面白かったです！ 次回作も楽しみにまっています！！ あと、いーぐるさんのページ(？)に何故かとべないので新作がでたらURLをこの小説に貼ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2019年1月23日 17時) (レス) id: d45390dddb (このIDを非表示/違反報告)
FUKA - 速く更新してください!!!!!! (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7fce94fe2d (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» 好きなコンビとかあったら教えてくださいね！ (2018年7月19日 21時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします！！ (2018年7月18日 18時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いーぐる。 x他1人 | 作成日時：2017年9月17日 23時
