Pet87 ページ38
Aside
泣いていても、何も始まらない。
さっきから何度も、ノックしようとしてやめてを繰り返している。
私の記憶のない彼に、何が言えるだろう。
その時、もう一度彼に会う大義名分を思い出し、ノックを二回した。
胸に光るアンモライトを、返さなきゃ。
ただの庶民の私が、いまや中島健人のペットの証であることを示してくれる唯一のそれは、静かに光っていた。
これがあるから、毎日が夢じゃないと思えた。
おもむろに首から外す。
「これを、返しにきました」
「……それ、俺のなの？」
「はい。あなたにもらったものです」
きょとんとしている中島さんに、涙が出そうになるのをこらえる。
「いらない、あげる」
「そういうわけにはいきません」
「持ってて」
そっぽを向いて短くそう伝えるなり、中島さんは布団をかぶってしまった。
これで、終わり？
彼には二度と、会えない。
中島健人と私は、住む世界の違う人間。
そう思ったら、体は勝手に動いていた。
嘘や演技ばかりで分かりづらいけど、ほんとはすごく繊細で優しい。まるでオオカミ少年のような、中島さんが、大好きだ。
ううん違う。
愛してるんだ。
「愛してます、中島さん」
そう言って布団を剥がし、驚いた表情の彼にキスをした。
「あなたが忘れてしまっても
いくら嘘をつかれても
あなたのそばにいたいんです…」
涙が頬を伝って、止まらない。
こんなふうに泣かれても、迷惑なだけだってわかってるけど。
「お前は本当に……変なやつ」
「え？」
「俺の方がずっとお前を愛してるよ」
中島さんは起き上がって私を引き寄せて、優しくキスをした。
覚えてる。私の大好きな中島さんの、人間らしい温かさだ。
「えっ、なかじまさっ、記憶は…」
「うるせぇ、黙れ」
唇を塞がれる。
もう何もかもどうでもよくなる程に、中島さんは私を愛してくれた。
「せっかく諦めてやろうと思ったけど…一生離してやんないから覚悟しろ」
「それって、どういう」
「愛してるよ、A」
ずるい表情で笑うから、また涙が溢れる。
アンモライトが私の胸の上で、何色もの光を放って煌めいていた。
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いーぐる(プロフ) - 桜花さん» ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。面白いと思ってもらえてとても嬉しいです…。実はこれを作っていたアカウントが消えてしまっていて、もう一度アカウント作り直してるんです汗それで誤作動になってるのかも。新作を出せたらそうします！ (2019年1月24日 7時) (
レス) id: 972489cf8f (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ この作品、本当に本当に面白かったです！ 次回作も楽しみにまっています！！ あと、いーぐるさんのページ(？)に何故かとべないので新作がでたらURLをこの小説に貼ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2019年1月23日 17時) (レス) id: d45390dddb (このIDを非表示/違反報告)
FUKA - 速く更新してください!!!!!! (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7fce94fe2d (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» 好きなコンビとかあったら教えてくださいね！ (2018年7月19日 21時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします！！ (2018年7月18日 18時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いーぐる。 x他1人 | 作成日時：2017年9月17日 23時
