Pet76 ページ27
しばらくぼうっと中島さんのことを考えていると、実物が現れてミルクティーを噴き出しかける。
百万の衣装を着てることは、一応忘れてはいないのだ。
「ど、どうしてここに…」
カフェのコンセプト通りに王子様服を完璧に着こなした中島さんは、私の目の前に荒い息をしながら立っていた。
「中島様よーーー！」
「ずっとお待ちしてたのよ！」
「早くこちらにいらして！」
「いいえこっちよ！」「こっち！」
あっという間に騒然となる店内のなか、中島さんだけは落ち着き払って跪く。その姿は本当に、一国の王子のようだった。
「姫、どうか足を差し出してください」
おずおずと足を差し出すと、足に冷たい感触が。
「えっ、これって…」
「やっと見つけた、僕だけのお姫様」
劇中で大破したはずのガラスの靴を、なぜか今私が履いている。
そのまま抱き上げられて、そっと小声で囁かれた。
健「僕との魔法の恋は嫌ですか？」
貴「…いや、じゃない、です…」
健「12時過ぎてもにがしませんよ？」
怪しく笑うと、中島さんは女子の悲鳴を背に店を飛び出して、誰もいないサロンのソファの上に私を下ろすと、そのまま覆い被さるように私にまたがった。
「ったく、どんだけお前のために走ったかわかってんのか？呑気にミルクティーなんか飲みやがって」
「へ？」
「仕事片っ端から片付けて、ガラスの靴もぶっ壊されたし、王子コスに着替えなきゃなんねーしで」
「えと…ガラスの靴って」
「せっかくお前のために用意しといたのに手違いで舞台に持ってこられて当然俺の足には入んないしぶっ壊されるし」
「ぜんぶ、私の、ために…？」
「お前好きそうじゃんこうい…うおっ」
私が抱きついたせいで、中島さんは驚いた声をあげた。
「大好きです、中島さん」
「…そうやってお前は俺だけに惚れてろ」
中島さんの仕事がどれだけ忙しくて思い通りに会えなくても、寂しく思う必要なんかなかった。
この人はこんなにも、私を重いくらいの愛で包んでくれてるから。私の頭を撫でるその手が、こんなにも優しいから。
「12時過ぎたことにも気づかないくらいお前を俺で満たしてやるよ、俺のシンデレラ？」
「え、どういう意味です？」
「学校じゃ教えられないことだよバーカ」
佐藤さんと中島さんのその日の学園祭での言動は、それから忘れられることなく語り継がれることとなったのでした。
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いーぐる(プロフ) - 桜花さん» ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。面白いと思ってもらえてとても嬉しいです…。実はこれを作っていたアカウントが消えてしまっていて、もう一度アカウント作り直してるんです汗それで誤作動になってるのかも。新作を出せたらそうします！ (2019年1月24日 7時) (
レス) id: 972489cf8f (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ この作品、本当に本当に面白かったです！ 次回作も楽しみにまっています！！ あと、いーぐるさんのページ(？)に何故かとべないので新作がでたらURLをこの小説に貼ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2019年1月23日 17時) (レス) id: d45390dddb (このIDを非表示/違反報告)
FUKA - 速く更新してください!!!!!! (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7fce94fe2d (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» 好きなコンビとかあったら教えてくださいね！ (2018年7月19日 21時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします！！ (2018年7月18日 18時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いーぐる。 x他1人 | 作成日時：2017年9月17日 23時
