Pet71 ページ22
中島さんはしゃがんだまま、私の手を取った。
「俺が誰よりも失いたくないのは、お前だ」
私の手を握る力が、少し強くなる。
「行くぞ」
そのまますくっと立ち上がると、手を繋いだままジェシカさんが去った方へ歩きだした。
くさいセリフも、手から伝わる熱も、うざったいくらい毎日もらっていたくせに、数日ジェシカさんにとられていただけで恋しくなっている自分がいる。
もうこの手を、離して欲しくない自分がいる。
健「…ジェシカ、オリバー？」
ホテルまで戻ると、オリバーさんと共にキャリーケースを持ったジェシカさんがロビーに立っていた。
オ「ケント。急な仕事が入って祖国に帰ることになったんだ。短かったけど妹と過ごしてくれてありがとうな、また会おうぜ」
健「おう」
オリバーさんは中島さんと握手を交わすと、仕事の電話に出てしまった。
ジ「……ケント」
健「あの時俺は子供で、可愛がってたウサギを逃がされたことに腹が立ったんだ。それだけだったのに」
ジ「私も謝らなかったしね」
ジェシカさんは泣き笑いの表情で呟いた。
ジ「好きよ、ケント。今も変わらずに。」
健「ジェシカ、俺は」
「もう、逃がさないようにしなよね」
ジェシカさんはニヤッと笑うと、私を見つめた。
「……あぁ。目印をつけたから、もう平気だ」
中島さんも同じような表情で、私の胸元の証を指で弾いた。
オ「行くぞ、ジェシカ」
「バイバイ、うさぎさん」
貴「宇佐美ですっ…って、ジェシカさん！」
「なによ？」
「また、会いましょうね」
「……むかつく、あんた」
ジェシカさんは可愛らしい顔を存分に歪めて、去って行った。
…今なら、すごく仲良くなれそうな気がする。
健「いい旅だっただろう」
満足げな中島さんに頷くと、
「来年はどこへ行く」
「来年も外国ですか？」
「毎年毎年どこかへ行くぞ。そうして50年後は、世界一周するって決めてるんだ」
子供みたいにはしゃいでいる中島さんに、
「1人で行ってくださいよ」
と呆れ顔で言ったものの、
「そう言って、俺が他の女を連れて行けば嫌そうな顔をするくせに」
「………お伴しますよ、どこへでも」
にやにやとそう言われれば、こう答えるしかないわけで。
「だいたいこれはペットの散歩だ。お前に拒否権などはない」
あーあ、50年目のその時は、ペットとしての散歩なんかじゃなくって、フィアンセとしてハネムーンに連れてってもらえるといいな。
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いーぐる(プロフ) - 桜花さん» ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。面白いと思ってもらえてとても嬉しいです…。実はこれを作っていたアカウントが消えてしまっていて、もう一度アカウント作り直してるんです汗それで誤作動になってるのかも。新作を出せたらそうします！ (2019年1月24日 7時) (
レス) id: 972489cf8f (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ この作品、本当に本当に面白かったです！ 次回作も楽しみにまっています！！ あと、いーぐるさんのページ(？)に何故かとべないので新作がでたらURLをこの小説に貼ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2019年1月23日 17時) (レス) id: d45390dddb (このIDを非表示/違反報告)
FUKA - 速く更新してください!!!!!! (2018年8月20日 23時) (レス) id: 7fce94fe2d (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» 好きなコンビとかあったら教えてくださいね！ (2018年7月19日 21時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
いーぐる(プロフ) - JUMPさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします！！ (2018年7月18日 18時) (レス) id: fc8fce71cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いーぐる。 x他1人 | 作成日時：2017年9月17日 23時
