芸人さんと、アイ。

◆ ページ10

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「やっぱここの焼き鳥最高ですね」

「ふは、頬張りすぎ、可愛いな」




頰が膨らみすぎてるのが自分でも分かる


詰め込みすぎてそんな姿を見られて

可愛いって言われて恥ずかしくて仕方ない




「んで、何をそんな悩んでたん？」




そんな私の気持ちなんて知る由もないリリーさんは

また優しく私に問いかける





「なんか私、このまま独りなのかなって」

「急に壮大な話になったな」

「…私、彼氏出来たことないんです」

「え、ほんまに？そんな可愛いのに？」





ほらまた

そうやって思ってもないことを

呼吸するかのように口にする



そんなリリーさんにさえイライラしてしまう





「私、可愛くなんかないです」

「可愛いって」

「見た目も性格も全然可愛くない
最近結婚していく友達見てると嫌になるんです」





最悪だ

こんな醜い姿を自ら好きな人に見せてしまった


いや、これでよかった

リリーさんとは縁のない人


奇跡的に付き合えても

何にもない私なんて一瞬で飽きられて終わり




「付き合ったこともないのに理想だけ高くなって
歳を重ねるたびに卑屈になっていく自分が嫌で」




こんな性格の女

誰がもらってくれるのか



無駄に料理とか洗濯とかだけ出来るようになって

経験もないまま独りで生きていくには

十分な家事スキルを身につけてしまって…



結婚だけが全てじゃないけれど

私にとってはずっと夢見てきたことだから






「彼氏作ったらそんな考えなくなるんやない？」


「もう無理ですよ
今更この歳になって彼氏なんて」


「んじゃ俺と付き合お」


「そんなリリーさんとなんて……え、？」






俯いていた顔を上げると


そこには真剣な顔つきをしたリリーさんと目が合った




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