芸人さんと、アイ。

高身長同士　濱家隆一 ページ48

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小中高と背の順では一番最後

しかも女子高からの女子大やったから

私より大きい人との関わりはあまりなかった



社会人として働き始めてから

もちろん私よりも背の高い人はいたけど

大体同じくらいの目線の人かちょい上くらい


だから初めてだった




「Aちゃんは小さいなあほんま」





初めて私の身長で小さいって言った人がいた


急激に熱くなる頰に戸惑いを感じながらも

平常心な振りをするので精一杯だった





「山内さんより背高いですから！」

「そうなん？俺からしたら全部一緒やけどな」

「ちょっと、頭撫でんといてください」





こんな扱いされたことない私は

どうしていいか分からなかった


他のスタッフさんに呼ばれて

慌てて逃げるようにその場から去った



結局その日は濱家さんのことで頭いっぱいで

次の日もその次の日もそんな調子だった





「かまいたちさん出番10分前です」

「はーい」





同じ目線の山内さん見て落ち着く

そのあとヌッと現れた濱家さんに身体が跳ねる





「っわ、びっくりした」

「Aちゃんおはよ、今日もありがとな」

「仕事ですから」





鼓動が早くなると同時に口調まで早くなる


分かりやすいなあ私

なんて自分自身に呆れる





「あれ、今日ちょっと背高ない？ヒール履いてる？」

「この後大事な会議あって
ちゃんとした服装じゃないダメなんで」

「そっか、頑張ってな」





いつもやったら髪の毛ぐちゃぐちゃにされるくらい

頭を撫でられるんやけど

会議ってことに気遣ってか何にもされなかった


ちょっと寂しいな、なんて思ったり。



そんな時、再び濱家さんの声が聞こえる





「なあ、今度さ、飯行かへん？
飯っていうかここの劇場の支配人さん
来週誕生日やねん、みんなで祝うねんけど」





私の元へ駆け寄り

その走った勢いでさっきよりも距離が近くなる





「あ、それ聞きました
私も出席する予定なんで是非」

「そうなん？よかったあ」

「よかった？」

「いや！なんでもない！楽しみにしてるわ！」





温もりを感じる


先ほど逃し損ねた濱家さんの手が

私の頭を撫でていた



私が何か言う前にそのまま走り去ってしまった





「ヒールなんて履いてくるんじゃなかった…」





聞こえないように呟いて熱を覚ます




いつもより私の身長が高いせいで


濱家さんの顔がより近くて


いつもより心臓がバクバクして


次の会議はとても集中に出来そうにない




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