愛より恋よりお笑いで (ページ45)

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・　（過去編森田side）ページ45

ひぐらしとわずかなセミの鳴き声が聞こえてくる

二人っきりで帰るのは本当に久しぶりで凄く緊張して汗が吹き出し始めた

静かすぎて何か話した方がええのかなって思うたけど何も思い浮かばんくてどんどん歩いてるから

タイムリミットが近づき始めている

何か...何か話さへんと......そう思ってるとAの方から話しかけてきた

「森田さん」

森「なんや？」

「久々にお二人に会って思ったんです、これからの事真剣に考えなアカンなって」

森「これからの事...って進路とかか」

「まぁそんな感じです」

森「今はこの平凡な世界を楽しんだ方がええとちゃう？」

「そうですけど......まだ捨てきれないんですよね」

森「捨てきれないってことは芸人になるっちゅうことか？」

「はい」

森「あんな目にあったのにか？」

少しきつい言い方をしてしまったから急いで繕おうとしたがその前に

「そうなんですよね、我ながらおかしいと思ってるんですけど......それでもやっぱり

芸人になりたいんですよ.........ちっちゃいころからの夢やから」

そう言って笑った時の儚い笑顔が月とよく合っててとても綺麗に感じて

森「綺麗やな」

「へっ？綺麗」

俺は今の言葉が聞かれたのかと思って急いで誤魔化すために月を指さして

森「月！今日、月がめっちゃ綺麗やな！」

Aの方を向いて言うとAの顔が赤くなっていたのに気づいた

森「なんでそんなに顔赤いん」

「わざとですか？今の」

森「なにがや！何がわざとなん？」

「いや、分からないなら......死んでもいいわ」

森「おい！死ぬとか言うなや、何なん教えてや！」

俺が言うとAはいたずらっ子みたく笑って自分の家らしきところに指さして

「あそこ私の家なんです、送ってくださってありがとうございました」

森「別に大丈夫やけど、さっきの死んでもいいわってどういう意味なん！」

「気になりますか？」

森「気になるに決まってるやろ」

そう言うとAが俺の顔に近づいて何だったらキスしそうなぐらいの近さで

「教えてあげません」

森「何やねん！ムカつくわ～」

「携帯で絶対に調べないで下さいね！あと、もしこの意味が分かった時にまた聞いてくださいね」

Aは笑って走り出そうとした

森「A！」

「はい」

森「携帯番号だけ聞かせてくれや」

Aにまた電話番号とメールアドレスを聞いて登録すると

「連絡待ってますから、また今度」

そう言って走って家の中に入っていった

俺一人残して