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虚無 (過去編) ページ25

私はしばらく自分の地元の堺の病院に入院することになった

初めはテレビがある個室にしてもらってたけど今まで入っていたレギュラー番組が目に入って

私がいた所にもうすでに別の人がおってそれを見て気絶したとマネージャーが言った

だからテレビのない大きな窓がある個室に移動してもらったらしい

私の病室には誰も来なかった、前の私だったら寂しいと思っていたのかもしれないけど

今はもうとにかく一人になりたかった

いつも仕事で忙しかったからこんなのんびりした時間は養成所に入った時以来だと思う

読みたかった本や少し制限はされているけど食べたかった食べ物も食べたいだけ食べれて幸せだった

でも食べては吐いて食べては吐いてを繰り返して自分の体調は全くよくならんくてむしろ悪化して

松竹が初め予定していたよりも休むことになって焦っているのをマネージャーの電話で知った

マネージャーは毎日のように私の病室を訪れて色々会話してくれたけど段々めんどくさくなって

家族以外面会謝絶にした

面会謝絶にしてから少しずつ体調が戻り始めて最近では病院内の庭を散歩できるようになって

身バレしたくないからマスクをして庭を歩いたけど久々に穏やかな気持ちになったりした

相変わらず病院のベットで座りながら小説を読んでいたらドアがノックされた

「はい、誰ですか?」

マ「私、少しいい?」

「どうぞ入っていいですよ、今日は調子がいいんです」

マ「そっか、体調は?どう」

「最近は病院の庭を散歩するようになって暑いですけど体を動かすのはとても楽しいです」

そこまで言うとマネージャーは少し笑って

マ「実はねAに...」

森「俺がAに会いたかってん」

ドアの方から森田さんの声が聞こえたから視線を移すと会いたくて会いたくて会いたくない人がいた

「もり、たさん......」

私は指の震えをごまかすために布団の中に指を入れた

マ「森田さんがねどうしてもAと話したいって言うから今日連れてきたんよ

で、Aが嫌なら森田さんも無理強いはしないって言ってくれてるからどうする?」

正直に言うと怖かった

あの日以来森田さんに会っていないし東口さんと居る森田さんの顔を見たら私なんかといるより

東口さんや同期の芸人仲間といるほうが楽しそうに思えたから

でも森田さんが私のために来てくれた

きっとたぶんこのチャンスを逃すともう二度と会えないと自分の中で感じた

「森田さんとお話させてもらってもいいですか?」

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作者名:リンさん | 作成日時:2022年2月28日 22時

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