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「わかってます、分かってますけど...うちは芸人です」

南「でもなーこればっかりはしゃーないな」

「これからどうすればええんですか?」

南「俺はAちゃんのネタを見たことあってめっちゃおもろいことも知ってるし

個人的には応援してるんやで、でもな少し厳しいことを言うとタレントとしていくのも

一つの手なのかもしれへんで」

「うちにタレントになれっちゅうことですか」

南「それも一つの手って事や」

「もう、いいです、失礼します」

南「ちょ、Aちゃん!」

私は走り出した

喫茶店から南川さんの下から逃げ出したかったんかもしれへん

正直あんなこと言われる思おてなかったからショックやった

でも正直南川さんの言ってることも分かるけどこのままでいるのは嫌だった

どうにかしたかった、自分の手で今のこの状況から抜け出すにはどうすればいいのか

でも分からなかった、どうすればいいのか、誰も教えてくれなかった

そんなこんなで年が明けて2008年になった

こんな中途半端な人間だからどうせすぐに飽きが来ると思ってたら年明けからずっと仕事で

驚く時間も考える時間もくれなかった

あれ以来、森田さんとも南川さんとも疎遠になってしもうた

私の周りにはもう誰もいなかったし誰も助けてくれんかった

味方なんていなかった、誰も信じれなかった

松竹はもう芸人として売り出してくれなくなった、タレントとして私、月城Aという売り出し

始めて大阪と東京を毎日行き来するようになって私は高校三年生になった

毎日が東京に行って大阪へ帰って大阪へ行って東京に帰る

それが繰り返されていてろくに親と話すことが無かった

もう同期や芸人仲間と疎遠ではなく全く合わなくなったがそれでも良かったと思う

だって芸人仲間もうちの事なんて嫌いやと思うから、もう嫌な顔なんてされたくなかった

よくあった、私がレギュラーで出てた大阪のテレビで私と同期の芸人が注目の新人でスタジオに来て

私の顔を見るたびにイヤな顔をされたりした、先輩がロケレポートを担当してスタジオから

話しかけているときも私にだけわかる、そのイヤな顔にもう傷つきもしなくなった

私は森田さんの「いつか評価される時が来る」というその言葉をいつまで待てばええんやろうって

そのいつかがいつ来るんやろうって自分で自分が分からなくなっていった

笑顔が無くなっていった、笑わんくなっていった


いや、笑えなくなっていった方が正しかった

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作者名:リンさん | 作成日時:2022年2月28日 22時

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