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絶望 (過去編) ページ16

森『いつかAの外見とか肩書とかちゃうくてネタで評価してくれるやつも現れるはずや』

森田さんのその言葉で私がどれだけ救われたか

今日も変わらず会社から与えられる仕事は芸人とは言えないものばかり

最近はなんだか女優みたいな仕事やタレントの仕事みたいなものしかくれんくなった

きっとテレビを見ている人は私が芸人ってことを知っている人の方が少ないのかもしれへん

だって私を芸人として繋ぎ止めてくれているものってもう肩書しかあらへんしネタ番組はおろか

劇場とかお笑い公演にも出さしてもらえんし

何より一番つらかったんは同期芸人のお笑い公演を休みと丁度被ったから見に行った時楽屋に

遊びに行った時少し嫌な顔を見て私はその公演を見ずに帰った

自分はもう同期から仲間や思われてへんのやと思うと悲しい気持ちと惨めな気持ちと悔しい気持ちが

ごちゃまぜになっとったんと思う

あんな売れ方せんかったら、同期と同じ売れ方しとったらこんなことにはならんかったのかと思うと

余計に惨めな気持ちになった

それでも頑張ってこれたんはきっと森田さんのおかげや思おてる

あの言葉が無かったら自分はお笑い芸人であることを忘れとったし忘れかけとった

だから森田さんは私にとっての命の恩人やった、森田さんの言葉が無かったらと思うと

せやから今私に与えてくれる仕事に関して頑張っていた

ネタも養成所に見せていた時は毎日のように書いとったのに今は何にも書いてない

でも最近はどんなに忙しゅうても毎週一ネタは書く決まりを作った

それでも出れんかった

どんなにマネージャーに出たい言うても

【イメージがあるから】

【Aはもう芸人としてじゃなくてタレントとして生きて行った方がええ】

【芸人になるよりかそっちの道の方がええ】

【芸人になったとてAは売れるん思ってるんか?】

それらの言葉は私を絶望させるにほかならんかった

「それは女やからか...うちが女やから他の同期と一緒にネタとかお笑い公演に出してくれんのか?」

【それ以外に理由があるか?】

そう言ってマネは楽屋から出て行ってもうた

私はまるで吊られていた糸が切れたように楽屋の床に衣装の制服を着たまましゃがみ込んだ

涙の一粒も出んかった代わりに

「はっ、ははっ、ははははっはっは」

笑い声しか聞こえんくてもうすべてがどうでもよく感じてしまった

今になってはもうなんで芸人になりたかったんか、こんな仕事をしている意味も分からんかった

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作者名:リンさん | 作成日時:2022年2月28日 22時

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