兄貴分の僕、弟分長男の彼 (ページ8)

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俺が初めてAさんのパフォーマンスを見た時

まるで全身に雷が落ちたような衝撃と、圧倒的な存在感に鳥肌と涙が出た

その時はデビューの話なんてまだ無くて、練習生としてただがむしゃらに努力を重ねていた俺は『練習生の中のトップ』よりももっと大きくて圧倒的な強い存在にただただ胸を焦がされた

聞き取りやすい発音と安定した音程

曲ごとに異なる表情を見せる表現力

以前本人がインタビューで「実はまだまだ苦手で…」なんて言ってたけど、そんな事を忘れさせるような完璧なダンス

圧倒的パフォーマンスのスペシャリスト集団BTSの中でも、俺はずっとAさんに釘付けだった

鋭い表情で強いラップを放ったと思えば、armyたちへ優しい笑顔を向ける

パフォーマンス中もMCも、メンバーと絡んである間でさえいくつもの顔を持つ先輩のように、いつか俺も…と強く思った

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「あれ？ヒョン、またそのライブ観てるんですか？」

ドライヤーで髪を乾かす前の風呂上がりのスビニがリビングで過去のBTSのライブを見る俺に声をかけた

「おー、なんか、観ちゃうんだよな。
どのライブも最高だけど、俺にとってこのライブが特別でさ」

「ふふっ、わかります。
このライブのAさん、特に活躍してますもんね」

このライブは、俺が初めて生で観た回で衝撃を受けたのもそうだけど他にも理由がある

「この時、急遽AさんのDJが始まって本当驚きましたよね、あれ！？セトリにないしリハーサルもしてないのに！？って」

映像はちょうど、Aさんがマイクをつけたミキサーと共にステージに上がったところだった

「この時、ジョングク先輩が裏で倒れてたんだよな、他の先輩たちも疲労が溜まってて別の曲に差し替える余裕がなかったところに急遽Aさんが即興でミックス入れたって。

かっこいいよな、そういう起点が効くところとか急なパフォーマンスに対応して完璧にやりこなすところとか」

導入のMCもさりげないし、聴き慣れた曲を全く別の新しい一面を見せる。
ミキサーにつけられたマイクから自分の声をサンプリングして音を足したり、そのまま歌ったり。

自分とそんなに年が変わらないはずの人が、雲の上の存在に思える。

「スビニ、俺さ、この前Aさんが急にきて俺たちのデビューのプロデュース入るって聞いた時マジで震えるくらい嬉しかったんだ」

そういうとスビニはこっちをてニッと笑った

「ちゃんと知ってますよ、ヒョン」