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ヒョンをおぶってBTS先輩の控室へ向かう。
「弟分におぶられるなんて兄貴分としての威厳がないよ！」なんて言われるかと思ったけど、ヒョンは素直におぶられて、俺の首元に頭を埋めながら「うん、ごめんね。迷惑ばかりかけてる」なんて弱々しく小さな声で言うから、相当辛かったんだろうなって。
「いえいえ、迷惑なんてかけられた覚え一切ないです」
なんて笑って言えば、首元にかかっているヒョンの腕がきゅっとした。
BTS先輩の控え室。
ノックをしてすぐ開けられたドア。
「もーAどこ行ってたの？一言いってか、ら、…ヨンジュン？」
「あ、えと、お疲れ様です！」
「ホソギヒョンごめんなさーい！」
ドアを開けたJHOPE先輩はキョトンと俺をみてから視線を少し下げさらに驚いた顔をした。
そしてさっきまでの消えそうだったAヒョンはいつものAヒョンに戻っていた。
顔は見えないけど、このヒョンのことだから笑顔までバッチリなんだろう。
「Aヒョン、どうしたんですか！？」
「グガごめんね、退場の時ちょっと足捻っちゃったみたいで、ヨンジュナに連れてきてもらった。ヨンジュナもごめんね、重かったでしょ」
「全然です」
「わーー！！なんで俺に言ってくれなかったんですか！俺の筋肉はこういう時にあるのに！
ヨンジュン、ありがとね。君はヒョンの命の恩人だよ…！！長身だし顔もいいし中身までイケメンだなんて！
それに司会もお疲れ様！超良かったよ！！」
「わ！ありがとうございます！」
俺は控室の椅子にAヒョンをゆっくり下ろした。
「それじゃAヒョン、ちゃんと病院に行ってくださいね…！」
「もちろん！本当助かったよ！！ありがとね」
それはヒョンと先輩方に挨拶をしてBTSの控え室を後にした。
あんなに腫れ上がった足で、誰にも悟られずに踊り切る。ヒョンのプロ根性の凄さを改めて感じた。
そして周りのメンバーに心配をかけまいとすぐに態度を切り替えてたことに素直に尊敬した。
だけど。
それじゃあAヒョンは一体誰の前で弱みを見せて、誰の前なら肩の力を抜けるのだろう。
不謹慎だけど、先輩が弱った部分を見せた理由が"俺だから"だったらいいのにと思ってしまった。
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作者名：わいきき | 作成日時：2021年2月8日 13時
