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全演目が終了して、出演者が全員ステージに立った。
締めの挨拶をして上から紙吹雪、出演者はカメラや観客に手を振ってお別れ。
無事番組が終わって、出演者が捌けようとした時、俺は司会のヨジャドルに一言行ってから急いでAの横に立って腰を支えた。
演技直後だから先輩方はみんな汗をかいているけど、Aヒョンは他の先輩より多く汗をかいていたし息も切らしていた。
「…ヨンジュナ、ありがと」
小さな声でそう囁くと、客席に顔を向けまだ席にいるarmyに笑顔てわ手を振りながら出口へ歩き出した。
俺も空いている方の手で客席へ手を振る。
BTSの最後尾を歩いていたから先輩方はヒョンの様子に気づいていないみたいで、いつもなら横にいるジョングク先輩も今日は先頭でV先輩とはしゃぎながら歩いていた。
「ヨンジュナ、ごめんね、そのままトイレに向かってくれる?」
「え?あ、はい!」
人気の少ない方のトイレの入り口に着くと、Aヒョンは中に入らず通路で座り込んでしまった。
そのまま足首をぎゅっと押さえて黙り込む。
「…足、怪我してるんですか?」
「うん、ちょっとだけ痛くて。
でもちゃんとテーピングで固めてるから大丈夫」
「病院に行ってないんですか?
見せてください」
「大丈夫だってば」
「いいから、」
そう言って半ば無理矢理ズボンの裾を捲ってテーピングを緩めれば
「……!」
Aヒョンの足首がパンパンに腫れていた。
バツが悪いのか、ヒョンは俯いている。
「こんなの、ちょっとなわけないじゃないですか」
「……」
「よく踊れましたね…」
「プロとして、穴を開けるわけには行かないから。
……なんて、こんな怪我した時点でプロ失格だけど」
こんなに弱々しい声で話すヒョンを俺は見たことがない。
「俺、全然気づかなかったです。
パフォーマンス、完璧でめちゃくちゃかっこよかったから。」
「うそ、じゃあなんで今ここにいるの?」
「リハの時、ヒョンにちょっと違和感があって、でもそれが何かわからなかったんですけど、パフォーマンス前に俺が支えた時、一瞬痛そうな顔してて……それで気づいたんです。」
俺がそういうと、ヒョンは泣きそうな顔で俺を見てそのまま俺の胸に頭を預けたから、年上にこんなことしていいのかわからないけどヒョンの頭を出来るだけ優しく撫でた。
「だから、ヒョンは今日も完璧で最高にカッコよかったですよ」
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作者名:わいきき | 作成日時:2021年2月8日 13時