44 ページ46
.
「ヨンジュニヒョン、ファイティン!」
ばっちりきまっているスーツにかき上げられた片方の前髪。
弟達に送り出された俺の今日の仕事は音楽番組特番の司会。
渡された台本の厚さに少々ビビりながらも、一緒に司会をするヨジャドルとディレクターと進行の確認をしたしリハも無事に終わった、後は本番を待つのみ。
途中でTXTとしてパフォーマンスをするけど、司会という大役の方が少々緊張の度合いが強い。
BTS先輩は大トリ。だからというわけではないけど、最後まで気を引き締めて頑張らなければ。
そういえば、BTS先輩のリハの時、Aヒョンになんだか違和感を感じた。
どこに違和感を感じたのかはわからないけど。
一瞬、この前見た夢の中のAヒョンを思い出した。
あの夢を見たせいで、もしかしてヒョンの見方が変わった…?なんて思ったけどそんな男じゃないはずだ俺は。
でもやっぱりどこか、先程のリハでみたヒョンが胸に引っかかっていた。
---
「それではいよいよ、最後の出演者になりましたねヨンジュンさん!」
「はい!僕達TXTの先輩、防弾少年団の皆さんです」
客席からの盛大な歓声。
堂々と胸を張って登場した我らが兄貴分BTS。
台本に書かれている質問やフリをして、先輩方もバッチリコメントをキメる。
ふと隣に立つAヒョンを見たけど、いつも通りににこやかにコメントをしているし他の先輩も特別Aヒョンを気にかけている様子もなかった。
やっぱり俺の気のせいだったのかな、なんて安心しながら「それではBTSの皆さん、お願いします!」とステージに送り出した。
その時、Aヒョンが一瞬グラついたのを目の端で捉えて俺は慌ててAヒョンの腕を掴んで支えた。
客席からはすでにボムの準備をしたarmyたちが俺たちのことをみて黄色い声をあげ、先輩方も何事かと後ろを振り向いたら
「わー!ごめんヨンジュナ!転びそうになっちゃった!
支えてくれてありがとね!」
なんてやっぱりニコニコ笑って、スイッチの入ってるマイクを通して俺に言った。
「ヤー、芸名、気をつけてよ!」
「へへ、すみませーん!ちょっとドジなところを見られちゃいました!
ちゃんとスタンバイします!」
Aヒョンは何事もなかったかのようにニコニコとスタートポジションについていた。
曲が始まって、先輩方はいつも通り完璧なパフォーマンスで、army達はもちろん俺を含む他の共演者を沸かせて最高にカッコよかった。もちろんAヒョンも。
354人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わいきき | 作成日時:2021年2月8日 13時