兄貴分の僕、弟分長男の彼 (ページ37)

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「『すみません、少しゆっくり、』」

困ってる、とても。

『かわいいー！』

『さっきのダンス、カッコよかったです！』

『よければ連絡先交換しませんか？』

『インスタに載せたいんですけど、いいですよね？』

本番終わり、控え室に戻ろうとした俺たちを囲んでいるのは、共演者のヨジャグループ

複数人に囲まれ、一斉に話しかけられては早口の日本語にタジタジの俺たち5人。
いくら俺たちが彼女たちより30cm近くも身長差があったって、この勢いとこの人数。

"圧" がすごい。

スビニなんて目が完全に泳いでるし、テヒョナも苦笑い。
あの愛嬌の化身であるボムギュとヒュニンでさえ笑顔が引き攣っている。

マネヒョンと通訳ヌナに「スタジオスタッフに挨拶してから行くから先に控室に戻ってて」なんて言われて、「まあ控室戻るだけだし」なんて何も考えずに歩いてたつい数分前の俺たちを止めに行きたい。

まぁ、時間は巻き戻らないし、現実と向き合わなければ。
ここは長兄の俺が弟たちを守るしかない。

「『すみません、、僕たち、日本語、少し、、で』」

『えー？なんですか？
イケメンなのに日本語超可愛いですね！』

だめだ、何言っても伝わってない気がする。
kawaiiだけはかろうじて聞き取れたけど、今の会話のどこにkawaiiって単語が出るんだ。

『インスタ用の写真、撮っちゃいますね』

急にヨジャが俺たちに背を向け、高くあげた腕にもたれているスマホのインカムを向けられた。

これはまずい。

「ヒ、ヒョン、どうしよう、、」

そう言ってボムギュが俺にピタっとくっついた。
これは本格的にまずい。

背中に冷や汗が伝ったとき、誰かが俺とヨジャたちの間に割り込んだ

「『はい、チーズ！』」

咄嗟に割り込んだ誰かはカメラを持つヨジャの手首を掴んでカメラを自分の方に向けさせてシャッターを押させた。

「『わー！僕のドアップ！なかなかないですよ！』」

そういって続けて2.3回ほどそのまま顔の一部しか写されないほどドアップの写真をとった

「Aヒョン…………」

『わっ！芸名さん！？』

『お茶目ですねw』

『一緒に写真撮ってください！』

「『すみません、今日は本番で汗かきすぎてメイクがへたっちゃって！』」

『そんなことないですよぅ、一緒に撮りましょっ！』

「『恥ずかしいからダメです！

そのかわり、そのドアップだったらインスタに載せてもいいですよ、今回だけ、特別ですよ』」

『わーい！』

救世主の神対応に助けられた