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更衣室の椅子に座り込んだ時、ついに泣いてしまった。
頭を上げられなくて、こんなところで泣いたってただ迷惑をかけるだけなのに。
「……うっ……すみません、でも、ヒョンが辞めるんじゃないかって…」
「………うん」
「辞めないでください…僕、ヒョンとずっと一緒にいたいです!一緒にデビューしたいです……!」
止まれ、止まれと思っても一向にたまらない涙にグシグシと手で拭う。
「どうして、うまくいかないんだろう…っ
こんな…っ、泣いてる場合じゃないのに、俺…」
そっと両手を掴まれて、包まれたまま下げられた。
「ううん」
鼻を啜る音を聞いて目を開ければ、
椅子に座る僕の前にしゃがみ込んでこちらをみているAヒョン。
ヒョンは目を赤く潤ませて、鼻を啜る
一瞬驚いて目を見開いたけど、ヒョンのそれがまた僕の涙腺を刺激してポロポロと涙をこぼした。
「不安にさせて、ごめんね」
握られている手が、きゅっとしまった
「……辞めないよ」
「……本当、ですか…?」
「うん、まあ実は結構悩んだけど。
でも、DJもできてラップもできて、さらにそこに歌とダンスまで加わったら最強じゃない?」
「でも、じゃあなんでPDのところに行ったんですか?やめるって言いに行ったんじゃないんですか…?」
「PD?
ああ、入国ビザの申請関係について聞きに行ってて。
観光ビザでここにいたけど、そろそろそれも切れそうだったからデビューできるまでは留学に切り替えようかなって。」
「な、なんだ…….うっ、…
もうダメかと思ってました…僕、Aヒョンがいないと頑張れないです…まだ人見知りもすごいし…」
Aヒョンはそっと僕の頭を撫でた
「僕達、同級生がいない同士だし、他のヒョンと少しだけ歳も違うし疎外感感じる時もあるよね。
みんなアングラ出身の人たちだし怖いよね、言葉遣いとか風貌とかw
まぁ僕もアングラ育ちだから人のこと言えないけどw」
「……っうん……ふふ」
僕が笑ったら、Aヒョンもふふっと笑った。
「僕達、末っ子同士、これからも支え合っていこうよ。
はじめての世界だし、周りのヒョンたちには悪いけど、強面だし僕も結構ビビってる時多いんだよね」
「ふふふ」
「へへへ」
「僕、ヒョンともっと頑張ってみる、ヒョンのダンスも俺がちゃんと教えてあげます。
ホソギヒョンの愛のムチだけじゃ、ヒョン死んじゃいそうだから」
「はは
良かった、僕の寿命もまだ持ちそう」
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作者名:わいきき | 作成日時:2021年2月8日 13時