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何も、最初からアイドル活動がうまくいってたわけじゃない。
ラップラインのヒョン達は、その界隈で有名でもアイドルラッパーなんてバカにされた。
防弾少年団って名前を何度も笑われたし、公の場で悔しい思いもした。
日本人の僕は、特に多かった。
現地の小さなフェスやスタジオでちょっとした盛り上がりを作れてもカメラを向けられたら何倍もの沢山の誹謗中傷。
カメラの数は銃口の数。
どんなにサイファーでディスられる経験があったって、匿名から向けられる無限の銃口に心は穴だらけにされたし、誰の仕業かわからない物理的な嫌がらせの数々に顔に出さなかっただけでメンタルはボロボロ。
ファンレターに見せかけた手紙にはカッターの歯が入っていたし、殺害予告も届いた。
撮影現場では衣装が破かれてたり、物が盗まれてたり。
armyからは「穏やか」「落ち着いてる」「バンタンの平和」なんて言われてるけど、実際は内心ドロドロしたもので溢れていて顔や態度に出さないだけでグチャグチャだった。
今でも、思春期にあんな誹謗中傷や嫌がらせを受けて、こんなにスレないで素直な性格に育ってくれて嬉しいってよくヒョンたちが言う
僕も、自分の性格の歪みがここまでで済んで良かったなって思うよ。
でもそれは優しくて愛を注いでくれたヒョンたちとグガのおかげであって、僕が独りだったら完全に道を踏み外してた。絶対に。
兄弟たちの気持ちやarmyの期待を裏切りたくなくて、でも僕の内側のこのドロドロでグチャグチャなものはどうにかして消化しなきゃいけなくて。
だから、僕はBTSとは別名義で活動を始めた。
日本から持ってきた僕の武器は、サウンドメイクとラップとDJ。
ナムヒョンに死ぬほど韓国語の勉強を付き合ってもらったし、ユンギヒョンにも韓国のスラングを教えてもらった。
アイドルの僕が絶対に言ってはいけない強くて汚い言葉達を、ラッパーの僕はさらに鋭い武器にして形を作ったし、それによって活躍の場も増えた。
『ペンは剣よりも強し』とはよく言ったもので、誰かを救う武器にもなれば、誰かを殺す武器にもなる。
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作者名：わいきき | 作成日時：2021年2月8日 13時
