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歌だけを合わせて、
ダンスだけを合わせて、
両方合わせて突っかかる部分をまたパーツに分けて練習して。
Aさんは言葉こそストレートだけど、怒鳴ることはしないし何故できないのかを一緒に悩んでくれるし共感もしてくれた。
だから落ち込みよりも、次は絶対にクリアするって向上心が沸くし、その気持ちに応えたいと思う。
じゃあ何が地獄かって、
それはやっぱりスタミナ面はもちろん、
俺たちの誰かが上手くできないごとに毎回丁寧に指導するAさんに対する申し訳なさ。
事務所のスケジュールが刻んであるホワイトボードには休む時なんてないんじゃないかってくらい、いつもびっしり刻まれてる先輩たちの予定。
もうホワイトボードじゃなくてブラックボードって呼びそうになるくらい。
息が上がって失敗が増える俺たちをAさんはその場に座らせて、タオルも水も渡してくれた。
先輩に持ってきてもらうなんて…と思ったけど、それ以上に体がゆうことを聞かなくてまた申し訳なさが積もった。
「本当は俺たちが自分で取りに行かないといけないのに、すみません…」
そういうと、Aさんはキョトン、としてから優しく笑って
「今は、デビュー前だからどれだけ迷惑をかけても失敗してもいいよ。」
と言った。
「でも、デビューしたらどんな理由や状況でも周りからは冷たい目で見られたり、全部言い訳って捉えられてしまう。
だからデビューしたら、ちゃんと自分たちで解決していかないとね。
もちろんスタッフや僕達先輩が手助けできることは全力でやるし、頼って欲しい。
でもタイミングが悪い時だってある。
僕たちは先輩がいなくて、そんな状況を手探りで解決してきた。辛いこともたくさんあったし……
だから、今日は先輩として少し後輩に厳しくしないとなって」
でも辛い練習は嫌だよね、なんて困り顔で言う先輩に鼻がツンと痛んで目頭が熱くなった
この先輩は、すごく優しい
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作者名：わいきき | 作成日時：2021年2月8日 13時
