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「お前たちのデビュー曲、上がってきたのを聞いたけどすごい良かった」と、
スタジオに向かう車の中でマネヒョンがまるで自分ごとのように嬉しそうに言った。
「マネヒョンもう聞いたんですか?!」
「えー!ずるいです!」
「いいな、俺もう待ち切れないですよー!」
「車で流しましょ!今!」
「はは、スタジオで聴かせるからもう少し我慢しろ」
俺たちのデビュー曲
憧れの先輩が、俺たちのためだけに用意した曲
今朝も早くから準備して車に乗り込んだから、さっきまで眠気がすごかったけど、今はワクワクの方が強くて早くスタジオに着いて欲しい
初めてAさんと挨拶した日から、大スターのBTS先輩はやっぱり死ぬほど忙しいみたいですれ違うどころか一切姿を見ることがなかった
同じ事務所なのに、その繋がりは驚くほど薄いんだな、なんて俺にしては驚くほどセンチメンタルな気持ちになってたけど、冒頭のマネヒョンの言葉は俺とAさんを繋ぐ糸としてまた新しくつながりの本数を増やした
「ヨンジュニヒョン、何ニヤニヤしてるんですかw」
なんてボムギュが言ってきたけど
「当たり前だろ、あのBTS先輩が俺たちのために用意してくれたんだぞ
これが喜ばずにはいられるか?」
と言ったらボムギュがケラケラと笑った
外の人間から見たら、
まだデビューもしてないっていうのに呑気なグループだななんて思われるかもしれないけど、今までの俺たちの血の滲むような努力を振り返ったら、いきなりこんな嬉しい出来事がある事くらい多めにみて欲しい
血の滲むような努力はまだまだ続いているし、ちょっとしたご褒美だ
改めて緊張感を取り戻したスタジオで、俺たちのデビュー曲「crown」は空気を震わせた
軽快で爽やかなサウンド
一気に曲の世界観に引き込まれた
当たり前だけど、BTS先輩とは全く異なる世界観。
これが、
事務所の楽曲に携わってる人たちが、
Aさんが
僕たちを想って作った曲。
ガイドを聴いて、少し難しそうなパートもあるけどそれも含めて、期待に満ち溢れた
周りを見たらみんな目をキラキラさせて、
アイコンタクトをとっては口元を綻ばせた
「俺、お前たちと早くこの曲歌いたいし、踊りたい」
「僕も」
「もっと練習、頑張りましょうね」
「やる気、めちゃくちゃ出ました」
「この曲を作ってくれたスタッフやこれから出会うペン達に最高の形で観せたいですね」
俺たちはスタートラインに立った
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作者名:わいきき | 作成日時:2021年2月8日 13時