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教室に戻るとクラスは今日も楽しそうな声で溢れていた。

椅子に座って次の授業の準備。



「あ、綾瀬さんおかえりー。お疲れ、」



重岡と楽しそうに喋っていた神山くんが私に気づいて視線をこっちに向けた。

重岡は私に背を向けたままこっちを向いてこない。

心臓がぐっと押しつぶされてる感じがして苦しかった。

こんなんで凹んじゃだめだって思えば思うほど苦しくなっていく。



「花壇の掃除って大変そう。」

「ううん、平気だったよ。」

「今の季節はまだいいけど夏とかきつそうやんか。」

「確かに。夏は嫌かも。」

「今はまだあったかいで済むもんね、夏はあったかいじゃ済まへんもん。」



へへって小さな口から覗く白い歯。

神山くんのあったかい笑顔と、振り向く気配のない重岡の背中。

こんなに近くにいるのに、なんだかすごく遠いところにいるみたい。

こんな他愛もない会話を、重岡とも出来るようになりたいのに。



「夏に外で作業するのは勇気が必要やんな。」



一歩、前に出る勇気。

私に圧倒的に足りないそれは、

たかが一歩のようで、されど一歩。

これだけで私の世界は大きく変わるのに、これだけができない。


重岡は今、何を考えているんだろう。

私のこと、もう嫌いかな。

やだな、こんなこと考えたって答えなんて出ないのに。

同じようなことを考えては凹んで落ち込んでの繰り返し。

このループから抜け出したいのに、気持ちだけが空回り。

私、少しも成長できてない。

成長、できない。



『授業を始めます、席に座ってください。』

「じゃあしげ、後で購買な。」

「ん、」



神山くんが自分の席に戻っていく。

私も自分の席に座った。

窓から強い風が吹いた。

私は風の音を感じながらゆっくりと目を閉じた。

髪が靡く。

ページがめくれる音がした。



『stand up!』



目を開くと世界は少し眩しく見えた。

重岡は、その目で、何を見ているんだろう。

その目に、少しでも私が映ればいいのに、なんて。

考えるだけで恥ずかしくて、でも考えずにはいられない。


重岡までの距離は、あと何センチ?









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プシュケ(プロフ) - しょあさん» ありがとうございます(;_;)大好きだと言ってもらえると私なんてまだまだちっぽけなのにとても誇らしい気持ちになれます。魔法のような言葉だなあと常々思います。更新頑張りますね! (2018年6月30日 21時) (レス) id: c500b02c4b (このIDを非表示/違反報告)
しょあ(プロフ) - だいすきなお話です!更新楽しみにしてます(ノ_<) (2018年6月25日 1時) (レス) id: a32bcb43cc (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - れんれんLOVEさん» ありがとうございます(;_;)そう言って頂けて有り難いです。2人の恋がゆっくり動き出すところを見守っていただけたら幸いです、更新頑張ります! (2018年4月15日 23時) (レス) id: 0d3b4e228a (このIDを非表示/違反報告)
れんれんLOVE - お互いまだ好きなのにその恋を諦めようとしてる。そんな感じでとても切ない気持ちになりました。これからも頑張ってください! (2018年4月15日 16時) (レス) id: d3a8aaae25 (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - 永瀬のあ。さん» ありがとうございます(;_;)弟子ができましたも読んでいただけてるんですね、嬉しいです、ありがとうございます。さっさと言えよ!って感じですよね、私もそう思います。笑 少しずつ成長していく姿を見守っていただけたらと思います、更新頑張ります! (2018年4月8日 22時) (レス) id: 0d3b4e228a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:プシュケ | 作成日時:2018年4月7日 18時

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