209.手紙を開くと ページ9
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松本さんたちを見送って
会議室に戻ると、机に置かれた資料をじっと眺めていた。
「お疲れ様でした」
「うん、お疲れ」
「わがまま聞いてもらっちゃって、すみませんでした」
私の言葉に、資料をそっと机においた社長
「で、松本さんとは何か話せたのか？」
それが目的だったんだろ？って笑ってて
雅紀くんと同じグループで活動する松本さんが
うちの社に来るってわかった途端に、こんなワガママを言ったんだから
私が直談判したって知っていれば誰にだって、私の目的なんてわかるだろう。
「話せたって言うか･･･」
ポケットに入った松本さんから渡された手紙。
それを、そっと取り出す。
二つにおられたそれは、他人に見られたらマズイ内容だったらどうしようってまだ確認していなくて
「手紙？」
「はい･･･まだ見てなくて･･･」
「今見たらどうだ？」
ここには、社長しかいないし、内容読むだけだから時間もいらないし･･･って
そっとそれを開けると
時間があるとき、ここに電話かけて。
って言葉の下に11桁の数字。
「これって･･･」
数字の横のカッコには「松本携帯」って書いてあって
「どうした？」
「あの、松本さんの番号が･･･」
「松本さんの？相葉さんからの手紙じゃないのか？」
その言葉に、この手紙を渡されるとき松本さんに
文字こそは、俺のものだけど、文は相葉くんのだから
って言われたのを思い出した。
「文字は松本さんのだけど、文は雅紀くんのだって言われました。」
「ってことは･･･相葉さんが松本さんの番号借りたって考えるのが妥当だな。監視の目をかいくぐる為に」
「･･･これ、、かけたほうがいいんですかね」
「何言ってんだ。本人から渡されたんだからかけたらいいだろ」
「そうですよね･･･」
手元にある、見慣れない字列をじっと見つめて
「家帰ってから、連絡入れて見ます」
「休憩時間にかけたらどうなんだ」
「いえ。なんの話するかもどれぐらい話すかもわからないですし、ここにも時間あるときにって書いてあるので」
結局、何を言われるのかわからない私は
すぐに電話をかける勇気なんてなくて
その手紙は大事に、ポケットに仕舞い直した。
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作者名：にゃん | 作成日時：2018年9月1日 13時
