202.直談判･･･M ページ2
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「久しぶりだね」
「そうですね」
小声で会話する俺らの話は後ろの二人には聞こえていないんだろう。
なにやら話が盛り上がってる。
「まさか、Aちゃんが社長さんについてくるとは思わなかった」
「私が、高野さんに直談判したんです」
そこで、Aちゃんは
普段、あの社長さんを「高野さん」って呼んでるんだってわかった。
「今回のお話会い、参加できませんか？って」
「なんで？」
「JSさんからのメールに、松本さんも同行させていただきますって書いてあったので」
「俺だったのに、参加したいって言ったの？相葉くんじゃないのに？」
「松本さんだったからですよ。雅紀くんだったら逆に別の担当者に頼んでいました」
「なんで？」
「なにを話したらいいのかわからなくて。」
長い廊下を歩くAちゃんの視線は、前ではなく下で
「ずるいんですよ。私。直接は話せないくせに何か伝言でもあるかなって」
自嘲気味に笑う彼女
「でも、よく社長さんがOK出したね？」
「私の周りにいる人の中で、社長だけは知っているので。雅紀くんと私の関係」
「え？」
なんで？二人で相葉くんを騙しているから？
Aちゃんと社長さんが付き合っているから？
たくさん友達がいるんであろう年頃の女の子が、なんで友達ではなく
上司であるだけの、社長さんしか知らないのか。
疑問は膨らむばっかりで･･･
さっきの給湯室前で聞いたことが、頭の中でリフレインする
「だから、、高野さんは優しいんです。秘書でしかない私のわがままを聞いてくれて」
「そうだね、あの人は人が良さそう」
翔くんにそっくりだし。ってことは言うのやめとこ。
「なんか、もっと落ち込んでるのかと思った」
「そうですか？」
「落ち込んでるの？」
「落ち込んでますよ。でも･･･」
切なく俯いた後、Aちゃんは黙って
エレベータの数歩前まで来ると小走りで行ってボタンを押した。
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作者名：にゃん | 作成日時：2018年9月1日 13時
