760.強がりの涙 ページ40
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「辛いこと、、思い出させたよね･･･」
漸く出た言葉は、そんな言葉で
自分のボキャブラリーの無さを痛感する。
もっと気の利いた言葉を言えたらいいのに、今俺が言える言葉は
苦しかったね、とかそういう言葉じゃない気がして。
「でも、、雅紀くんが聞いてくれなければ、、きっとずっと隠したままだったと思います、、」
辛かっただろうに、彼女はそうやって俺が話を聞きたがったことは攻めなくて
ありがとうございます、ってお礼が言える彼女が素直にスゲェな、って。
きっと俺が思っている以上に強い子なんだってわかった。
「ミチルにも、そのせいで沢山迷惑かけてますし、、」
そういった今、頭にうかべてるのはミチルちゃんなんだろう。
少し、声が落ち着いてきて、シャツを握る力も弱くなった気がする。
「お母さん達のこと、まだ許せてない、、の･･･？」
「･･･今の両親は、きっと姉がまだ生きてた頃の両親です。･･･ちゃんと私を私としてみてる、、家を出てから、私が居なくなってようやくひどいことをして居たと気付いた。って趣旨の手紙も貰いましたし」
「･･･じゃあ、、」
「･･･ミチルにも、いつも言われるんです。もう大丈夫なんじゃない？って。･･･でも、、わかってても、怖くって」
「もう大人なのに、何に怯えてるんだ。って話ですよね。」って
アハって、自嘲気味に腕の中で笑う声がする。
「Aちゃん、、」
「お姉ちゃんの代わりのままなんだろうなぁ、って気持ちが、拭いきれないんです」
「･･･」
「ごめんなさい、こんな暗い話しして、、でも、聞いてもらえてよかったです」
そういって、漸く顔を上げた彼女の笑顔は、強がってます！っていってて
涙の跡が残る、目尻にそっとキスを落とした。
「泣いて、いいんだよ？」
「っ、、」
「泣き虫なんだから、、泣きたいときはいっくらでも泣いてよ」
きっと、彼女なりにこの件に関しては必死に涙を堪えてたんだと思う。
いつもなら、泣きじゃくって単語が単語じゃなかったりするときもあるのに
今日は俺の顔を見るのも拒んで、必死に涙を耐えるように手を握って
ポツリポツリと話をしてたから･･･。
「突然、強くなんかならないでよ。(笑)」
そういうと、一文字につむった唇を震わせて、線を切ったように瞳から涙をこぼして。
太陽が輝く空の下、俺にしっかり抱きしめられた腕の中で、いつもの泣き虫な彼女に戻った。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
