753.彼に気づかれた溝 ページ33
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「Aちゃーん？」
私の部屋の備え付けのクローゼットにダンボールから出した服をかけていると
廊下の方から雅紀くんの声が聞こえた。
「おかえりなさいっ、」
部屋から顔を出すと、私の部屋を通り過ぎてリビングに入ろうとしているところで
振り返った顔は、少し驚いて居た。
「そっちにいたんだ」
「はい、少しでも荷物片付けようと思って」
「明日にすればいいのに、」
「服かけてただけですから、(笑)」
彼が私の部屋を覗いて、荷物これだけ？って中を見渡した。
「ん、はい。ピアノも置けそうだったので、こっちおいちゃいました」
「それは、全然いいんだけど、、」
「けど？」
雅紀くんは黙って、私を見つける。
何か言いたげな彼の言葉を待ってたけど、ほんの少し眉を顰めただけで、すぐにいつもの笑顔に戻って
「なんでもないよ(笑)」
私の頭を、ぽんぽんってした。
「もう、荷物来ますか？」
「ん？あぁ、、うん。トラック止めて準備してくれてるからすぐくると思う」
「じゃあ、暗くなる前には終わりそうですね」
「･･･」
「雅紀くん？」
何も言わないで、今だに私をじっと見つめる彼の顔をそっと覗き込むと
「Aちゃんさ、、？」
って、ようやく口を開いた。
「？はい、」
「･･･なんで･･･今日、お義父さん達に手伝い頼まなかったの･･･？」
「え、、？」
「なんか、、あった？」
突然そんなことを聞いて来た彼に、違和感を感じなかったわけじゃない。
でも、それ以上に彼に秘密にしていた、家族との溝を彼に気づかれたんじゃないかって、心臓がキュッと閉まる感覚がした。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
