741.親友だけが知ってる事 ページ21
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「ありがとね、きてくれて。髪切ったんだ？」
「久しぶり(笑)そーそー。わかった？」
「わかるよ(笑)前もっと長かったもん」
「20センチくらい行ったかな。･･･てかもう始めてるの？」
私の足元にあるダンボールを見て、ミチルが部屋の中をキョロキョロする。
「うん。運び出すものは少ないんだけど、掃除とかもしなきゃいけないから。」
「体は？大丈夫なの？」
「ん、今日はここ最近で一番調子いい気がする」
「引っ越し日和じゃん(笑)」
「そうかもね(笑)」
こんな、訳のわからないやりとりも、なんだか懐かしい。
「で、結局Aママ達は呼ばなかったんだ？」
「･･･うん。」
「まぁ、そうだよね。まだ難しいか」
私と両親の問題を知ってるミチルは
ずいぶん昔から、両親との仲を気にしてくれる。
「ごめんね、頼んじゃって」
「何言ってんの(笑)もっと私のこと頼っていいくらいなんだから」
「･･･ん、ありがと、」
両親とのことは、私が勝手に前に進めていないだけって言うか、、
きっと、私の心内を2人は知らない。
何年かぶりに家に帰った時も、雅紀くんの前だから･･･って必死に作り上げた、理想の娘。
両親を長い間遠ざけてた理由も、知っているのはミチルだけ。
「でもまぁ、そろそろ前に進んでもいいんじゃないかなって思うんだけど、ね」
「･･･わかってはいるんだけどね」
「まぁ、いまは無理しないで。子供生まれたら、また変わるんじゃない？」
「そう言うものなのかな」
「そうじゃない？わかんないけど(笑)」
わかんないんじゃん、ってクスって笑うと
そーそー、いまは笑って！ってミチルは近くにあったダンボールを広げ始めて。
やっぱり、ミチルに出会えててよかったって思った。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
