734.大学芋 ページ14
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ニヤニヤしてる2人にこれ以上、彼の話をするのはなんだか恥ずかしくなって
注文いいですか？って言うと、そうだったね。って2人とも笑いながら注文を聞いてくれた。
「･･･とりあえず鶏胸肉100と･･･カボチャのサラダ100と･･･｣
ズラーッて並んでるお肉とかお惣菜の中に
一番のお目当てだった唐揚げがあって。
近くに揚げたて！って書かれてたポップが貼り付けてあった。
「唐揚げ揚げたてなんですか？｣
「あぁ、そうそう！さっき上がったところなんだよ〜！｣
今度雅紀くんにも、おじさんとおばさんの唐揚げ食べてもらいたいな〜って思いながら
じゃあそれも、100ください。って頼んだ
「他は？大丈夫かい？｣
「はい、流石に1人じゃこれ以上、食べきれないと思うので、(笑)｣
「ぅん？彼とは食べないのかい」
「はい、彼とはまだ一緒に住んでないんです(笑)」
「あぁ･･･それでお引越しして･･･ってことかぁ」
「そういうことです、」
私の言葉に、また2人は寂しくなるねぇ、、ってしょんぼり。
そんな2人を見て、私もなんだか寂しくなってくる。
「また、買いに来ますし、そんなに遠くに引っ越すわけでもないので」
「そうだけどねぇ、、」
「それに彼も唐揚げ大好きなので、ここの唐揚げ食べさせてあげたいんです」
だから、また顔出しにこさせてください。って言うと
2人はパァッと顔を輝かせてくれる。
「アハハッ(笑)嬉しいこと言ってくれるねぇ」
「じゃあ、引っ越したらお祝い送るから、住所教えてちょうだい！」
はい！って即答できればいいのに
彼のお仕事上、やっぱりすぐには答えられなくて。
「っと、、住所控えるの忘れたので、こっちからお手紙出しますよ！」
待ってるからね〜って嬉しそうに言う2人に
事実を教えられないことに罪悪感を感じながら、お会計をしてもらう。
「じゃあ合計で780円ね、」
「はい、｣
「後これ、おまけね？｣
「え、、｣
お金を渡すと、もらった袋とは別に小さな袋を渡されて
中を覗くと大学芋が入ってた。
「これ、大好きだったでしょ｣
ここの大学芋は、唐揚げと同じぐらい人気商品で
通いつめてた時は、頑張った日のご褒美に買ったりしてた。
「これなら、しばらく置いてても美味しいし腐らないから！」
「元気な赤ちゃん産むんだよ！」
2人の、優しさがあったかくて
隠し事をしてるのが申し訳なくって、堪えてた涙が頬を伝った気がした。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
