731.お肉屋さん ページ11
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昔ながらのお店が並ぶ商店街の奥道にそのお店はあって
まだ、店仕舞いしていなかったことにホッとしたのと同時に、ほんの少しジンとした。
｢こんにちはー･･･｣
｢はい、いらっしゃ〜い｣
自分のこと、覚えててくれてるかな、、って不安になりながら
あの頃と変わらない、丸メガネをかけた優しそうなおじさんに声をかけた。
「あ、、れぇ、、」
店番をしていたおじさんは、まるで幻でも見てるかのように
丸メガネを手であげて、目を細める。
「もしかして、、Aちゃん、、かい･･･？」
「はい、ご無沙汰してます、、」
私の返事に、おじさんは目を見開いた後、ニコ〜って変わらない笑顔を見せてくれる。
その目尻には、ほんの少しシワが増えてる気がした。
「どうしたんだぁ！暫く見ないうちに綺麗になって〜！お〜い！！」
おじさんは、お店の奥に声を響かせて
きっとおばさんを呼んでくれたんだろうな、って奥を覗くと
思った通り、お店の名前入りのオレンジの三角巾を頭に巻いたおばさんがヒョコッと出てきてくれた。
あの頃と同じように後ろでお団子にしてある髪の毛は、ほんの少し白髪が見える。
「あらぁ！！？Aちゃん！」
「ご無沙汰してます、」
「どうしたのぉ！、暫く来ないもんだから、お父さんと心配してたのよ〜！」
「すみません･･･(笑)部署が異動になったら、帰る時間がお店がもう閉まってる時間帯になっちゃって」
「そうなの〜･･･忙しいのねぇ、、でも移動ってことは、、職場は？辞めずに続けてるの？」
「はい、(笑)新しい部署では、すごく良くして頂けてるので、、」
「そっかそっか、なら良かったわ〜、、」
「いやぁ、本当久しぶりだねぇ･･･｣
安心しきった表情を見せる2人に、本当にあの頃は沢山支えてもらってたな。って改めて感謝の気持ちが胸に溢れた。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
