45.バレた？ ページ45
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｢も、もしもし？雅紀くん･･･｣
｢あ、Aちゃん！？コンサート今終わったんだけど｣
｢そ、そうなんですね？｣
｢Aちゃんは、もう家？｣
｢えっと･･･今･･･｣
社長と仕事終わりに食事にきてるって、嘘なんかつかないでいいのに本当のことが言えなくて口ごもってると、
｢･･･外なの？｣
雅紀くんが心配そうに聞いてきた。
｢誰といるの？｣
｢しゃ、しゃちょうと･･･｣
｢しゃちょう･･･あぁ、･･･社長さん？そっか･･･2人なの･･･？｣
｢はい･･･ごめんなさい･･･｣
｢なんで謝るの(笑)やましいことしてないんだったら謝らなくていいよ？気をつけて帰るんだよ？もう、外も暗いし･･･｣
こんな時にでも、心配してくれる雅紀くんが愛おしくって
ただ、男性と二人で食事をしてるってだけで、嘘をつこうとした自分が最低に思えた。
｢帰ったら電話して？待ってるから｣
｢は、はい。｣
｢じゃね？｣
雅紀くんがそう言うと、電話が切れた。
左耳に寂しくプーップーッって音がしたすぐ後に私の隣から社長の声。
｢ねぇ･･･ごめん。聞くつもりはなかったんだけど。」
言いながら社長は、携帯を指さす。
バーの中は、静かな音楽しか流れていなくて他にお客さんもいないから
隣にいれば、聞こうとしなくても、電話の相手の声ぐらいは聞こえてしまうかもしれない。
「今の声…それに雅紀って･･･｣
気がついたら、社長は私をジッと見つめてて
震える手で携帯を卓上に置くと、その動きに合わせるように
社長の視線も卓上に向かった。
｢もしかして･･･嵐の･･･｣
｢ち、違います！そんな！｣
｢･･･本気？｣
｢だから、違います！！｣
必死に否定しようとするのが逆に怪しくさせて、社長の予想が現実味を帯びてくる。
どうしよう、どうしよう。
目の前にあるカクテルの残りを、とりあえずグッと飲み干す。
｢おい！いくら度数が低いからってそんな風に飲んだらっ･･･｣
｢な、なんでもありませんからっ！｣
社長の声なんてもう耳に入ってなくて、どうやって隠そうって頭だけが働く。
早くこの場所から離れたくて鞄をぎゅっと握ると、席を立った。
にゃんでございます。→←44.バーのお誘い【02.09更新】
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作者名：にゃん | 作成日時：2017年11月29日 0時
