30.418号室･･･A ページ30
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タクシーから降りると真っ先にポストまで行ってAちゃんの部屋の番号を確認する。
丁度マンション内から出て来た宅配のお兄さんのおかげでオートロックは潜れて
ポストの表記で4階にあったAちゃんの名前をみつけた。
エレベーターよりも階段を使ったほうが早いって推測した頭は1秒でも早くAちゃんに会いたくて階段を駆け登るよう体に命令を出した。
4階について見上げた「418」って書かれたプレートの下にはAちゃんの名前が間違いなく張り付いていて
息切れする体を肩で整えながらインターホンを押した。
｢はい･････って、雅紀くん･･･っ｣
マスタード色のニットに短パン靴下にスリッパっていうラフスタイルで
仕事中はポニーテールにしてたのか、セミロングの髪は少し結び跡が付いていて
すっかり休日モードのAちゃんが、びっくり顔をしてた。
｢Aちゃん、話が！｣
｢わ、私は話すことなんてありません！｣
閉めようとした扉の隙間に太ももを挟み入れたら
思いの外思いっきり閉めようとしたみたいで
思わず、い゛っ！って、声が漏れた。
｢あっ！ごめんなさいっ･･･！｣
｢だ、大丈夫(笑)･･･それより、別れようってどういうこと？｣
俺の問いかけに、Aちゃんは口元をムッとつむったけど
俺の足を挟んだことが少し申し訳なくなったのか、さっきまでの勢いはなくなって
｢･･･雅紀くんには･･･言えません｣
｢なんで･･･？｣
｢･･････｣
｢言ってくれないなら俺ここから動かないから｣
｢そんな！困ります！！｣
｢じゃあ、教えてよ｣
そういうと、Aちゃんは困った顔をしながら
頑なに開かなかった口を開いた。
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｢櫻井さんにお前は遊ばれてるんだって言われて･･･｣
｢うん･･･｣
｢確かに私じゃ、雅紀くんに釣り合わないと思ったし･･･本気になってるのは自分だけなんだなって･･･ドキドキしてたのも私だけで｣
｢･･････｣
｢雅紀くんのお仕事の邪魔はしたくないし、メンバーの皆さんにも迷惑かけたくないんです･･･だから、｣
｢Aちゃん･･･｣
泣きそうになりながら、話してくれたAちゃんが愛おしくって
不安にさせてた自分が悔しくってAちゃんを抱きしめて。
ゆっくり体を離すと、溢れ出しそうな涙を浮かべた瞳で俺を見つめる彼女にキスをした。
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作者名：にゃん | 作成日時：2017年11月29日 0時
