一１ ページ13
「Aがさ〜、」
「Aがね〜、」
最初は誰だよ、それって。
「で、Aはなんて言ったの？」
「Aも好きかな、これ。」
そのうち顔と名前を覚えたら、
すっかり知り合いみたいになっちゃってて、
もしかしたら名前を出す頻度は
俺より上回ってたんじゃないのかな。
好きだけど。
左手の薬指を見ても、よくわかんないよ。
いくら晩婚だ、独身貴族だ、って言っても
ある程度の年になれば、結婚してないことが
なんで？になって、
やっぱしなきゃいけないんじゃん。
しなきゃいけない結婚ってなんだよ。
納得は出来なくても、影響は受けてしまって、
そのせいで昔よりちょっと慎重になった恋愛は億劫で、でも結局楽しいことに変わりない。
曖昧な関係が好きだ。楽だ。
無責任に責任なんて持てないし。
ヒョンは結婚を勧めも否定もしなかったけど
今となってはきっとどうでもよかったんだろう。
頭の中がたった一人に埋めつくされる感覚を
思い出していただろうから。
いつも、なんだって譲ってくれたのは
特にいらないものだったからなんだね。
会話からAというワードがすっぽり抜けたら、俺たちどんな話してたっけ？って。
仕事にゲームぐらい？
大して話すことないじゃん。
でも、まだ不思議と一緒にいる。
女の人には理解出来ないかもしれないけど
それがヒョンと俺の関係性だった。
「Aに会った？」
って聞いたら、
「会ったよ。」
それだけ答えるような人で、
「返してよ。」
って言ったら、
「返すもなにも、俺のじゃないよ。」
こう言うような人だ。
一応否定しておくけど、
酷い男なんかじゃないよ。
終わりたくないから、認めない。
それだけのことだ。
Aが例え口を割っても
なんの話？って顔をするんだろう。
そうすることが守ることに繋がると信じているんだろう。
でも、そんなこと教えてやるようなことはしない。
善い人なんかやってたら
生きていけないから。
別に譲ってくれなくていい。
取り返せればそれで。
欲しい情報を与えず
いらない情報だけ、
好きな子の顔に暗い影を落として
まるで善良な逃げ道みたいに両手を広げた。
舞台裏はいつだって悲惨なものだよ。
青臭い気持ちは変わらないよ。
やり方が狡猾になっただけだ。
ただ好きだと言って付き合えたら
どんなにいいことか。
遠い遠い昔の、幻みたいな話だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yucca(プロフ) - すずさん、お久しぶりです。お元気ですか？またすずさんのお話が読みたいなぁ(^^♪ (2018年5月27日 19時) (
レス) id: 205d08e47e (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - アキさん» アキさんいつも優しい言葉をかけてくださってありがとうございます〜！ゆっくりペースかもしれませんが、丁寧に書きたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2018年2月16日 17時) (レス) id: b8bc3155f8 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - はなほさん» お待たせしました！笑 やっとこさです。あとはここからみんなの魅力を偏らないように書かねば…！ (2018年2月15日 17時) (レス) id: b8bc3155f8 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - はぐさん» はぐさん、いらっしゃいませー！笑 のんびり更新になりそうですが、またお付き合いお願いします！ (2018年2月15日 17時) (レス) id: b8bc3155f8 (このIDを非表示/違反報告)
はなほ(プロフ) - すずさん» ついに意外な人の登場ですね、待ってました！なんとなくこの雰囲気にぴったりな気がします＾＾すずさんの書くKがとんな人物になるのか楽しみにしてますね！＾＾ (2018年2月15日 2時) (レス) id: 756f60358c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すず
| 作成日時：2018年1月27日 15時
