episode 12.5 �� ページ16
その後サッチと別れて、おれはモビーに1度帰ってきたというわけだ。
おれが話し終わると、オヤジが口を開いた。
「そうか。あの鼻タレ坊主の仲間とはなァ、一目逢ってみてェもんだ。、、、おれも能力者だ。殴られちまうかもしれねェなァ。グララララッ」
オヤジは高らかに笑う。
何故だかわからねェが、Aの話しをすると機嫌が良く見える。この間もそうだった。謎だよい。
「おれの息子に手ェ出したんだ。今度赤髪の坊主に接触したときは挨拶してもらわねェとなァ」
そう言う割には怒っている様子はなく、やはりどこか楽しそうだったーーー。
モビーを後にして、街に向かう道を歩く。春島なだけあって、夜は肌寒く冷たい風が頬を撫でた。手をズボンのポケットに突っ込むと、何かが指に当たった。取り出してみると、Aが落としていった子電伝虫だった。
ふと、サッチと別れる前に言われたことを思い出す。
『それにしてもよォ』
『なんだよい。また、ニヤニヤしやがって』
『おれ初めて見たわ』
『何をだよい』
『ひとが心臓をズキュウーンって射ぬかれる様』
『、、、は?』
『マルコ、お前あのAって奴の笑った顔にやられちまってただろ。今まで見たこともねェ顔してたってんだよ。まあ、たしかに可愛かったもんなァ。それに話して絡んでる最中もなかなか楽しそうにしてたぞ、お前』
本当にご執心なんじゃねェの?、とサッチの奴はそそくさと言い逃げして街の方に行きやがったのだった。
おれがたった2回しか会ったことがない奴にご執心?
はっ、なんの冗談だよい。
おれは自分より遥かに華奢な奴に殴られたっていうのと、特別な体質に興味を持っただけだ。まあ、話しをやりとりしてた雰囲気は悪くはなかった。どちらかといえば、確かに楽しんでいた自分もいたかもしれねェよい。
でもただそれだけだ、それだけ、、、。
今日もいろいろあって疲れたよい。
そう思いながら、もう片方のズボンのポケットの中に片手を突っ込む。すると、こっちにも何かがあったようだ。
それは、渡しそびれたレンズの入ったハンカチ。
そういえば結局返せなかったよい。
「これも子電伝虫も、今度返せばいいかーーー」
しばらくそれを見つめ、ポケットに戻した。
《忘れ物と口実》
(また会えるチャンスがあることに)
(少し嬉しかったことは気のせいにしておこう)
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t(プロフ) - とても面白かったです！！続き待っています！ (2021年5月1日 18時) (
レス) id: 738730b1ba (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 名無し87778号さん» コメントありがとうございます!更新は頗る遅いですが、続きを書く気満々なので待っていてください。 (2020年10月29日 22時) (レス) id: 08f2f54cf6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し87778号(プロフ) - 続きを楽しみにしています！ (2020年9月6日 12時) (レス) id: fa16a757ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のあ | 作成日時：2020年5月16日 20時
