指先に馳せる想い�� ページ6
「だってあの日から恋人らしいことなんてこれっぽっちもなかったじゃないですか、、、」
「、、、俺はちゃんとこの間の返事、返した筈だが?」
「??」
「、、、A、お前あの後の話ちゃんと聞いてなかったねぃ」
「へ?話?」
「はあ〜〜〜、」
マルコ隊長が言うにはこうだ。
あの告白の後、次に停泊する島に着いたときに二人でゆっくり島を回ろうという約束をした。所謂デートの誘いを私or俺は受けていたらしい。実はマルコ隊長も大分前から私or俺のことを好きでいてくれていて、私or俺に告白を先にされたのが格好がつかないからといって、その時にマルコ隊長から改めて告白のやり直しをさせてくれと頼まれたという内容だった。
つまり、最悪パターンなんて何も心配することなかったのだ。それにマルコ隊長は、私or俺とのデートの時間を作るためにいつも以上にバタバタと忙しくしていたのはその為だったらしい。
「ほんとお前はそそっかしいよい」
「す、すみません反省します」
「反省ついでに今日は俺の抱き枕になれよい。この体勢はお前の心臓に効果的みたいだからねぃ」
先程の私or俺のお願いはやはり聞き流されていた訳ではなかったようだ。
「明日には島に着く。今日はもうこのまま寝ろよい」
このままの体勢で寝るのはなかなかハードルが高い。マルコ隊長と向かい合わせでないことがギリギリセーフといったところだろうか。拒否権はきっと、いや絶対ないんだろうなと思う。頑張って寝ることに集中しようとぎゅーっとむりやり目をつむってみた。
「なあ、A、、、」
「ど、どうしたんですか、マルコ隊長?」
「さっきの返事してなかったと思ってよい」
「さっきの?」
「俺も、」
後に続く言葉はなかなか耳に届くことはなく、なんだ?と思いながら待っていると、ゆっくり指先を背中に滑らせているのを感じた。目をつむっていたからなのか、指の滑る感触がダイレクトに伝わっている気がする。
そしてそれは、先程寝ていると思っていたマルコ隊長へ向けて私or俺が贈った言葉と同じであると気付き、背後を振り向いた瞬間、目の前には視界いっぱいのマルコ隊長と唇には柔らかい感触ーーー
『指先にのせる想い』
(背中で感じた「すき」の2文字)
(次は必ず音にのせて伝えるから)
(そう心の中で誓い、今度は自然と瞼を閉じた)
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作者名：のあ | 作成日時：2019年9月8日 1時
