ある日の記憶。 ページ9
あの頃は、幸せだった。
家族が…
狭い部屋に布団を敷き詰めて寝て、
決して裕福じゃないけど幸せだった。
「姉ちゃん、町行くん?」
「あたしも行きたい!」
『あかん。今日は雪降りそうやし、山道で滑ったら危ないやろ?』
「「えぇー」」
『和紀、少しでも木ぃ切っといてくれんか?』
「そりゃあやるけどよぉ、一緒にやると思っとったのに」
『堪忍な。陽平と雛子はええ子にしてるんやで?家の事、守ってな』
「うん!」
「知ってる!」
幸せやった。
でも、幸せが壊れるときはいつも…
嫌な予感がする。
「ふー、こんなものかな」
買い出しを終えて店を出ると雪が降っていた。
「Aちゃん、雪の中帰るんかね?危ないよ?」
「大丈夫や、雪の降り始めは慣れてる。おばちゃん、ありがとな」
急いで帰らないとな…
「……っ?!」
家の戸が取れて地面に倒れている。
扉には、赤い血痕……
「なんや、何が…っ?!」
土間に横たわる雛子と陽平…
居間で千鶴と園子を庇う様にして倒れている和紀。
「あ”ぁ”ぁぁぁぁぁぁぁぁ…どしたん、何があったんや!!」
みんな、冷たい。
虚ろな目で、返事をしてくれない。
「何で、こんなことに…」
「お”?まだ小娘が生きていたんだなァ。コイツは鮮度がよさそうだなァ」
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作者名:カロリーメイト | 作成日時:2024年1月6日 7時