overture〜遥か、遠く___〜

礼 ページ9

「グァ…グ…ソッ」






そして黒く禍々しい怪物は

やがて塵の様に細かくなり、消えていった。





消えた…？？

この人が倒した…？？


いや、
それよりもお礼をしなくては。




「あの…」


「すまなかった。」



思わず、えと声を上げる。



「あの、いえ！こちらこそ、命を助けて頂いた身ですので…」



どうして…？助けてもらったのに。

そう思い、
つつお礼を言う。




「いや、我々の手違いで危険に晒してしまったのだ」


「申し訳ない。」


そう言うと、
男性は頭を下げてきたのだ。




「えっ！？あの…！頭を上げてください！」



あああ！

こう、
なんかもっとちゃんと人に言えたらいいのに。


普段からのコミュニケーション不足がこんなところで…






「エ、モノ！ハッケン！！」



「イヤ！オレ、ガヤル！！！」





「！まだ居たのか…！」



「ひー！二人も！？」



さっきと同じ怪物が突然屋根から現れたのだ。


しかも、

足音無く…新手の忍者なのだろうか。



いや、今はこの人と一緒に逃げるべきだ。






「フウとライはまだ手こずっているのか…？」



「…下がってくれ。」



そう言うと、
また彼は剣を怪物に向けた。



さっき倒したとはいえ、今度は二体。




大丈夫なのだろうか…

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