No.2 おかえりなさい ページ5
sideA
「おかえり、勇利！！」
自動改札を挟んだところの自分のポスターを凝視している勇利に、声を掛けた。
びくりと大きく肩を揺らす姿に、懐かしさを感じる。
勇利が長谷津を出たのは、5年前になる。
俺が怪我をした翌年の事だった。
『今のままでは勝てない。だから、長谷津を出て、もっと違うスケートを学びたい』
そう言い残し、デトロイトへと飛び立った。
「た、ただいま」
照れ臭そうに頬を掻く勇利。
ボロ負けしてはいたけど、元気そうで何よりだ。
「おかえり！勇利！！」
ミナコさんも追いついて、飛びついてくる。
5年ぶりだなぁ、この光景を見るのも。
なんだか物凄く太った気がするけどきっと着太りだよね、そうだ絶対そうだよね。
駅を歩いていた人たちが、勇利に気づいて握手やらサインやらを求めてくる。
まあ、ファンサービスも大事だから(笑)
大体の対応を終えた勇利は、車椅子の後ろに回って、『押させてよ』と言った。
断る理由なんて何もない。
『もちろん』笑顔でそう答えた。
車椅子を押され、ミナコ先生と3人で真っ直ぐ勇利の実家のゆ〜とぴあかつきへ向かった。
「寛子さーん！連れてきましたよー、勇利！！」
「Aくんにミナコ先輩！おかえりなさい、勇利！！」
声をかけるなり飛び出してくる寛子さん。
みんな、勇利の凱旋を喜んでいるんだ。
もちろん俺も、例外なくその内の1人！
「ねぇ、ヴィっちゃん………」
利也さんも出てきて勇利を除く4人で盛り上がっていると、蚊の泣くような細い声がした。
「線香、あげてきなさい」
寛子さんは、優しく言った。
勇利が仏間へ行く後ろを、真利ちゃんがついていくのが見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
駄人間K(プロフ) - ☆Rin☆さん» ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2017年1月6日 21時) (
レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
☆Rin☆(プロフ) - この作品のおかげでユーリ沼にはまりそうで怖いです（笑）更新ヾ(〃＾∇＾)ｏ ﾌｧｲﾄｫｰ!!楽しみにしてます♪ (2017年1月6日 21時) (レス) id: f2c4ea5338 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - 楽しみにしています！！ (2017年1月5日 19時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
駄人間K(プロフ) - 夏生まれさん» ありがとうございます！！ハピエン、最後にはみんな笑えるよう、これからも更新頑張っていきます！これからもよろしくお願いします！！！ (2017年1月5日 8時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - このお話好き！！ちょっと、切ないのがたまらない…けどハピエン期待してます！！ (2017年1月4日 22時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：駄人間K | 作成日時：2016年12月1日 10時
