No.27 あと6日 ページ37
side勇利
やっと今日から、ヴィクトルに教えて貰える。
僕だって、ラストシーズンかけてるんだ。
ここでビビってたら勝てっこない。
「まずは曲を聴いてもらおうかな」
透き通った旋律が、リンクにこだました。
「この曲は、テーマの違う二つのアレンジがある。愛についてErosとAgape。2人は愛について考えたことあるかい?」
「ねぇよ」
僕もない。
「じゃあ、どんな感じがする?」
「透き通ってて、純粋無垢で………まだ愛を知らないような…?」
うまく言語化できない。
「俺はやだな、この曲。イノセントなイメージとか吐き気がするぜ」
ユリオとの一言で、ばっさりと思考を切られてしまった。
「それじゃあ、次」
今度は、挑発的なメロディーが流れる。
さっきとは全然イメージが違う。
「俺、こっちの曲で滑りたい!!」
ユリオが食い下がる。
「最初の曲は、愛についてAgape。無償の愛がテーマだ」
僕は、やっぱりAgape、なのかな…?
「そしてこの曲は愛についてEros、性愛としての愛がテーマだ」
隣でユリオが、唾を飲み込んだ。
「この対極的な二曲を、2人には滑ってもらう。振り分けはこうだ………勇利がEros、ユリオがAgape!!」
「はぁ?逆がいい!絶対イメージ違うだろ!?」
ぼ、僕がエロス?
無理無理!
ユリオの言う通り、全然イメージと違うと思う。
「みんながイメージすることの真逆を行かなきゃ、ビックリしないだろう?俺のモットーだ!」
「ていうか、君達は自分が思ってるより無個性で凡庸だから、もっと自覚をしたほうがいいよ?自分で自分のイメージを決めるとか、よく言えるね!観客からしたら、子豚ちゃんと子猫ちゃんだよ」
………。
さらっとすごいこと言われた。
「あと1週間で俺の満足のいく滑りができないなら、2人とも振付は無しだから!俺のファンならできるよね」
「わかった」
ユリオが氷を蹴り上げた。
「やるよそのアガペー。その代わり、こいつに勝ったら、ヴィクトルにはロシアに帰ってもらう。そして俺のコーチになれ!それが俺の願いだ!」
「いいよ」
全然よくない。
だって、ヴィクトルに教えてもらいたいことは、まだまだたくさんある。
行きたいところだって、一緒にやりたいことだって山のように転がっている。
「勇利は?この勝負に勝ったら何したい?」
「……カツ丼食べたい。これからもいっぱい勝って、いっぱいいっぱいカツ丼食べたい!!だから、やります!全力のエロス、ぶちかまします!!!」
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駄人間K(プロフ) - ☆Rin☆さん» ありがとうございます!更新頑張ります!! (2017年1月6日 21時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
☆Rin☆(プロフ) - この作品のおかげでユーリ沼にはまりそうで怖いです(笑)更新ヾ(〃^∇^)o ファイトォー!!楽しみにしてます♪ (2017年1月6日 21時) (レス) id: f2c4ea5338 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - 楽しみにしています!! (2017年1月5日 19時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
駄人間K(プロフ) - 夏生まれさん» ありがとうございます!!ハピエン、最後にはみんな笑えるよう、これからも更新頑張っていきます!これからもよろしくお願いします!!! (2017年1月5日 8時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - このお話好き!!ちょっと、切ないのがたまらない…けどハピエン期待してます!! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駄人間K | 作成日時:2016年12月1日 10時