No.26 まさか、ね ページ36
sideヴィクトル
急に勇利とAが消えたから、真利に聞いたところミナコの所かアイスキャッスルにいるんじゃないかと言われた。
真利は、『勇利は不安になるとすぐ練習しに行くから。まあ、許しちゃうあたしたちもあたしたちなんだけどね』と言っていた。
ねぇ、何が不安なの、勇利？
取り敢えず俺は、ミナコの営む居酒屋へ向かった。
「え、勇利？来てないわよ？」
oh……
「でも俺、真利に言われたよ？」
「あー、真利ちゃんが言ってたのは、バレエスタジオの方ね〜」
「そうなのかい？」
「うん。勇利は、小さい頃からよく来てる」
それから、ミナコは勇利の事をたくさん語ってくれた。
例えば癖だとか、小さい頃の話だとか。
環境に恵まれていたのに、なかなか成績が伸びなかったことも。
「ありがとう、参考になったよ」
礼を言って、次はアイスキャッスルへ向かう。
もう、ここにいるのは間違いないだろう。
受付カウンターに声をかけると、優子が、待ってましたとばかりに顔を出した。
「あ、ヴィクトル！勇利くんとAくんだよね？いるよ！！」
そのまま、ガラス張りの実況席に案内された。
「……Aくん、治ったんだね」
えっ、治った…？
詳しい事情は知らないけど、怪我でスケートができないって事は知ってる。
ガラスに張り付くようにしてリンクを覗いた。
本当だ。
Aは確かに、まだぎこちないけれどスケートを履いてる。
あれが、A……。
見惚れていると、勇利に近寄って止まった。
これから起こる出来事に眼を凝らす。
Aの表情はここから見えないけれど、勇利は今まで見たことがないくらい、柔らかく微笑んだ。
「あの2人って昔からよく、他人の付け入る隙がない空間に閉じ篭もっちゃうのよね。本当仲良し」
そうか、勇利はまだ俺に心を開いてくれてないんだね…。
2人はお互いのおでこをくっつけて、まるで恋人同士みたいな雰囲気だった。
俺もいつか、Aくらい勇利のそばに立ちたい。
これ、嫉妬してるのかな…。
「あの2人は、どっちか片方が欠けちゃ、ダメなんだと思う」
優子が呟いた。
「？」
「勇利くんは、『Aくんの為に』って言うから、最後まで挫けずやり抜ける。逆にAくんは、『勇利くんの為に』って言って、一緒にトレーニングして、こうやって氷の上に戻ってきた」
「ああ」
「最も、現役時代は『負けたくない』だったんだけどね」
もう少し、溝を埋めなきゃな。
逃げるように帰路に着いた。
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駄人間K(プロフ) - ☆Rin☆さん» ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2017年1月6日 21時) (
レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
☆Rin☆(プロフ) - この作品のおかげでユーリ沼にはまりそうで怖いです（笑）更新ヾ(〃＾∇＾)ｏ ﾌｧｲﾄｫｰ!!楽しみにしてます♪ (2017年1月6日 21時) (レス) id: f2c4ea5338 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - 楽しみにしています！！ (2017年1月5日 19時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
駄人間K(プロフ) - 夏生まれさん» ありがとうございます！！ハピエン、最後にはみんな笑えるよう、これからも更新頑張っていきます！これからもよろしくお願いします！！！ (2017年1月5日 8時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - このお話好き！！ちょっと、切ないのがたまらない…けどハピエン期待してます！！ (2017年1月4日 22時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：駄人間K | 作成日時：2016年12月1日 10時
