−−− ページ33
エッジカバーを外して、リンクサイドのAに手渡す。
互いに無言のまま、ただ黙々と基礎練を始めた。
ふと頭の中で蘇る、ついさっきの、ユーリに向けられるヴィクトルの笑顔。
そっか。
そうだよな。
あっちのユーリの方が、将来有望だし。
シニア初参戦でグランプリファイナル優勝するとか、強気だし。
何より、ヴィクトルの前で、堂々としてる。
…僕なんかよりも…………僕よりも…_____
__________キイィ…
フィギュアスケートが出すはずのない特有のその音に、ハッと我に帰り、顔を上げた。
「ふふ、酷い顔」
目の前にはいつの間にか、懐かしいスケート靴を履き、氷を踏みしめるように立つAがいた。
「ははっ、酷いなぁ。…Aは、綺麗」
いくら、この数ヶ月間僕とトレーニングしていたと言っても、後遺症が完治するはずはなく、きっと、今立っていることですら精一杯なはずだった。
それなのに、Aは微笑んでいる。
純粋に、綺麗だと思った。
「そう?ありがとう。……何考えてたの?」
柔らかく無邪気に微笑むA。
6年のブランクがあるとは思えない器用で美しい動作で、僕の周りをぐるりと回って、また顔を覗き込んできた。
目と目があう。
視線がぶつかる。
その黒くて綺麗な瞳は、僕の心を見透かしている様で、思わず顔を逸らして練習を再開した。
167人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
駄人間K(プロフ) - ☆Rin☆さん» ありがとうございます!更新頑張ります!! (2017年1月6日 21時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
☆Rin☆(プロフ) - この作品のおかげでユーリ沼にはまりそうで怖いです(笑)更新ヾ(〃^∇^)o ファイトォー!!楽しみにしてます♪ (2017年1月6日 21時) (レス) id: f2c4ea5338 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - 楽しみにしています!! (2017年1月5日 19時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
駄人間K(プロフ) - 夏生まれさん» ありがとうございます!!ハピエン、最後にはみんな笑えるよう、これからも更新頑張っていきます!これからもよろしくお願いします!!! (2017年1月5日 8時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - このお話好き!!ちょっと、切ないのがたまらない…けどハピエン期待してます!! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:駄人間K | 作成日時:2016年12月1日 10時