冬物語 6

優しくない ページ11

*









barを出て
私のことを
居ないみたいに
さっさと前を歩く彼に







「あの・・いま・・いちさん？」汗






さっきマスターが
そう呼んでいたのを思い出し
彼に話しかけた






今市「・・何」







「私、上野Aです」






やっと止まって
後ろを向いてくれた







今市「・・俺は、今市隆二」







「隆二・・さんか・・」






名前を名乗ってくれて
初めて名前を知った
でもその感動も一瞬で
今市さんは直ぐに
前を向き歩き出した








今市「君と違って俺は忙しいんだ、家はどっち？」






「ご、ごめんなさい・・結婚、してるんですよね」汗





今市「・・まだしてない、これからするんだ」






「・・あぁ・・そういうことか・・一緒に飲んでた人ですか」





婚約指輪なんだ
指に光っている指をを見ながら
納得した





今市「・・・君に・・ごめん、上野さんに言う筋合いはないよ」






「・・・そんな言い方・・」






ひどい
ちょっと聞いてみただけなのに
筋合いないとか冷たい
この人本当
思ってた人と違う





そう思うと一瞬で覚めた







人間やっぱ
顔だけじゃないと
確信したんだ







変な魔法が解けたら
腹しか立たないから
不思議だ







歩いていた足を止めて
逆走することにした









「ありがとうございました！！私もう一人で大丈夫なんで失礼します」大声









大声で叫んで
彼の後ろから逆走した







だけど
数メートル走ったところで
慣れないパンプスのせいで
思い切り地面にダイブしてしまった








「いった・・・」うぅ






持っていたバックも
見当たらないし
起き上がろうにも
転んだ衝撃で立てない








今市「・・・家、そっちじゃないよね」






「だ、大丈夫です一人で帰れます・・」グスん






今市「・・・俺の言い方にムカついたんなら謝るよ、ごめん」





地面に転がっている身体を
支えて立ち上がらせた






「べ、別にそんなんじゃないです・・ただ、想像してた人と違ってただげです・・・」つーん





今市「一体どんな奴想像してたんだよ・・」ボソ






「もっと優しい人かと思ってました」ムッ






そりゃ迷惑かけた
私が悪いんだけど
だからって・・
はぁ・・・









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